2011.01.07

▽『累犯障害者』

山本譲司『累犯障害者』 (新潮文庫)

著者によれば、タイトルの「累犯障害者」とは、「次から次に犯罪に結びついてしまう障害者たち」(p.238)を意味する造語という。

政策秘書の給料の流用事件で実刑判決を受けた元国会議員である著者が、彼らに出会ったのは、刑務所の中である。そして、出所を目前にした受刑者の「俺ね、これまで生きてきたなかで、ここが一番暮らしやすかったと思ってるんだよ」(p.11)という言葉に衝撃を受ける。

出所後の著者は、障害者福祉施設の支援スタッフをするかたわら、累犯障害者の周辺を、訪ね歩いている。それは、あたかも著者自身の贖罪の旅のようでもある。

本書に登場するのは、刑務所に戻りたいからとJR下関駅に火をつけた老人、浅草で女子短大生を刺殺したレッサーパンダ帽の男、障害者を食い物にするヤクザ、売春する女性の障害者たち、不倫殺人事件を起こしたろうあ者、群馬で女性監禁致死事件を起こした知的障害者の一家などである。

《このように、彼らの消息を訪ねるなか、触法障害者を取り巻く世の中の現実が、かなり見えてきた。かろうじて再犯者になることを免れている者も、「路上生活者」、「ヤクザの三下」、「閉鎖病棟への入院」、そして「自殺者」や「変死者」になっていたりと、それは、あまりにも切ない現実の数々だった。
 ――福祉は、一体何をやってるんだ。
 すべての福祉関係者に向かって、そう叫びたくなる。もちろんそれは、私自身に対してもだ。》(p.221)

重い一冊である。


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