2011.02.11

▽参議院とは何か

竹中治堅『参議院とは何か 1947~2010』(中公叢書)

本書は、最近の日本政治の焦点の一つである「参議院」に焦点を当てたものである。

日本政治史において、参議院は長らく衆議院の「カーボンコピー」とみなされてきたものの、衆参ねじれ国会という事態になると、むしろ「強い参議院」が問題とされる。

これらの「カーボンコピー」論と「強い参議院」論という二つの大きく相反する論を、参議院の成立した1947年から2010年にかけて、通史的に検証したのが本書である。

戦後の憲法で定められている日本の制度では、衆議院の多数派が内閣総理大臣を指名するため、内閣(政府)と衆議院(立法府)が一体的な関係にある。その一方で、参議院は、内閣とは距離を置いた独立した存在となっている。

このため、歴代の内閣総理大臣は、参議院における多数派の確保に腐心させられることになる。ねじれ国会はもとより、ねじれていない場合でも、内閣が参議院に振り回されることもある。

たとえば小泉純一郎の跡を継いだ安倍内閣では、郵政選挙の後に離党させられた造反議員を復党させたが、これは2007年の参議院選挙を控えていた参議院自民党の要請によるものだった。

2006年の時点では、衆参ともに自公で多数派を占めていたにもかかわらず、造反議員の復党を認めた途端、安倍内閣の支持率は下がり始め、年金問題や閣僚の事務所費問題などの追い討ちもあって、参議院選挙では惨敗して、ねじれ現象をもたらし、安倍の辞任にもつながった。

三権分立があいまいな議院内閣制において、実は「強い参議院」が立法府の独立性を保っていたとみることもできるだろう。

ただし、著者も指摘しているように、一票の格差の問題や、何を代表しているかが明確になるように参議院という制度は見直される必要があると思う。

[参考]
▽小泉純一郎が本当にぶっ壊したものとは?
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2008/10/post-fb1b.html
▽なぜ自民党は大敗したのか?――曲解された世論を読み解く
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/main/2010/01/post-d9ca.html
▽二大政党制批判論
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/05/post-28ff.html


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