2011.02.10

▽コロンブスが発見する前のアメリカ大陸は思ったよりも繁栄していたらしい

チャールズ・C. マン『1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(布施由紀子訳、NHK出版)

先日、コロンブスがアメリカ大陸を発見した時の同時代世界史『1492 コロンブス 逆転の世界史』を紹介しました。

▽逆転の世界史
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/01/post-4c9e.html

今回、取り上げる本書のタイトルは『1491』。とある場所で見かけた時、「おや? 見間違えたかな?」と思いましたが、「1491」で見間違いではありませんでした。

一般に流布しているイメージは、コロンブス以前のアメリカ大陸は、狩猟部族が中心の動物の楽園であった、というものです。

しかし、本書の著者によれば、実際には、ヨーロッパよりも多くの人口を持ち、たくさんの都市があり、多様な言語や文化を擁していた、という研究結果が、1990年代に多数発表されたそうです。

そして、多様な文化を持っていったアメリカ大陸の先住民たちが、ヨーロッパからの移民たちによって支配されていった最大の要因は、武力ではなく、ヨーロッパ人によってもたらされた「肝炎」や「天然痘」などの病気だった、という事実を提示します。これらの病気に対する免疫がなかったために、アメリカ大陸の先住民の人口は90%以上も減ってしまった、との推計もあるようです。

目からウロコの落ちるような歴史的事実を突きつけられるとともに、先住民が失ったものは、これまで考えられていたよりも、ずっと大きかったのではないか、という問題を、本書は提起しています。


|

書評2011年」カテゴリの記事