2011.02.15

▽七人の侍と現代

四方田犬彦『『七人の侍』と現代――黒澤明 再考』(岩波新書)


現在では、日本を代表する傑作映画とされている『七人の侍』だが、公開当時の日本では、むしろ批判の方が多かったという。

評論家の多くは、「世界観の暗さと百姓への蔑視」(p.197)を問題視したという。当惑と失望が支配的な論調の中、自衛隊の必要性を説いた映画として、自民党の内部でだけは絶賛されていたという。

『七人の侍』が世界的に評価されるようになったのは、1954年のヴェネツィア国際映画賞で銀獅子賞を受賞してからのことだった。

本書は、日本においては、すでに過去の作品となっていながら、戦乱の傷跡が深いパレスチナやセルビア・モンテネグロでは、いまなお現在進行形の作品として受け止められている『七人の侍』を、もう一度捉えなおそうとする試みである。

『黒澤明「七人の侍」創作ノート』(文藝春秋)もあわせて読まれたい。


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