2011.03.08

▽紅衛兵とは何だったのか?

陳凱歌『私の紅衛兵時代-ある映画監督の青春』(刈間文俊訳、講談社新書)

唐亜明『ビートルズを知らなかった紅衛兵―中国革命のなかの一家の記録』 (同時代ライブラリー)

以前、レスリー・チャンの伝記を紹介しましたが、

▽レスリー・チャンの生涯が語るもの
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/08/post-c910.html

彼が主演した映画『覇王別姫』(邦題:『さらば、わが愛 覇王別姫』)の監督、陳凱歌が書いたのが『私の紅衛兵時代』です。

『覇王別姫』の中でも、文革時代の紅衛兵の暴れている様子が描かれていましたが、そもそも、どうしてああいった事態にいたってしまったのか? については、よくわからない部分もあります。

大躍進政策の失敗で失脚しかかった毛沢東が、紅衛兵というかたちで大衆を動員して行った権力闘争だった、というのが、まあ、通説といったところなんでしょうか。それでも、政治家の思惑だけで、そんなに大衆を扇動できるものなのか、という疑問も残ります。

唐亜明の『ビートルズを知らなかった紅衛兵』で描かれているのは、辛亥革命以降の唐一家の歴史であって、文革の時代についても、紅衛兵として活動した自分や兄弟、そして両親の受けた体験などを綴っています。

著者が、1989年に、二十年前に下放された村を訪問した際に、ある村人から言われた言葉は、印象に残ります。

《「あの文革では、被害者も加害者も区別できない。悪いこと全部を林彪と四人組のせいにするのはおかしい」》(p.353)


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