2011.04.05

▽『誰が小沢一郎を殺すのか?』

カレル・ヴァン・ウォルフレン『誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀』 (井上実訳、角川書店)

《大地震や大災害に見舞われると、人間というものははたと現実に気づくのか、あらためてよく注意して周囲を見回すようになるものだ。》

本書のプロローグの書き出しである。実際に本書が出版されたのは、東日本大震災の前であり、大震災について考察されたものではない。

『誰が小沢一郎を殺すのか?』とは仰々しいタイトルだが、内容はいたって真面目で、小沢一郎という政治家が、マスコミによって「人格破壊」というかたちの攻撃をうけているが、その背後にいるのは誰か? についてご存じカレル・ヴァン・ウォルフレンが考察している。

「人格破壊」という政治的な暗殺は、世界各国で見られることだが、小沢一郎に対しては世界に例をみないほどの執拗なものだという。小沢一郎に対するそれは、1993年に自民党を割って、非自民連立政権を創って以来、マスコミと、その背後にいる検察や官僚によって続けられている。

さらに、日本の官僚やマスコミには、アメリカの政治エリートであるジャパン・ハンドラーズとの間に「密約」があり、日本人の政治的独立を妨げる方向へと行動しているとウォルフレンは指摘する。官僚は、権力を維持する非公式のシステムを有しており、それを破壊しようとする小沢一郎を抹殺したがっているのだという。

「官直人のふたつの誤り」についても記されている。ひとつは官僚にのせられて、消費税増税路線に走ったこと。そして、

《菅氏のもうひとつの大きな誤りは、小沢氏が持つ奥深い政治の知識と戦略を無視しようとしていることだ。》(p.106-107)

[目次]
第一章 「人物破壊」にさらされる小沢一郎
第二章 霞ヶ関というシステムの起源
第三章 日本型スキャンダルの残酷と混沌
第四章 “政治的現実”と日本のメディア
第五章 戦後日米関係という病理
終章 国家主権、オザワ、システムの欺瞞


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