2011.05.04

▽『CIA 失敗の研究』

落合浩太郎『CIA 失敗の研究』(文春新書)

アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンの死亡は、当のアルカイダによっても確認されたようです。今回の暗殺計画でもCIAが活躍したことでしょう。

2005年に上梓された本書『CIA 失敗の研究』では、CIAの二つの失敗が指摘されています。一つ目は、冷戦が終わった後に、国家間の戦争よりも、テロとの戦いが重大な脅威となりつつあったのに、それに対応することが遅れたこと。その帰結として、9.11のテロがもたらされます。このテロを、CIAやブッシュ大統領周辺は、事前に知っていてわざとやらせたのではないか? という疑惑がありますが、本書を読む限りでは、むしろ、断片的な情報はつかんでいたのに、組織的な対応ができなかったようです。

そして、この失敗が尾を引いて、「イラクのフセイン大統領はアルカイダとビンラディンを支援している」、「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」というブッシュ政権の見立てに迎合した調査報告をでっち上げてしまいます。これが二つ目の失敗。

アフガニスタン戦争までは、国際世論の支持もあったかと思いますが、さすがに、イラク戦争は無理筋でした。

ちなみに本書によると、現在のCIAは昔のように独自判断で要人の暗殺を行うことは認められておらず、大統領の決定による文書が必要とのこと。ビンラディンに関しては、なんと9.11の三年前に当時のクリントン大統領が署名した暗殺命令書が存在し、ブッシュ、オバマと引き継がれてきたのだそうです。

こうしてみると9.11テロは、自らが暗殺対象としていた相手の力量を過小評価した結果、思いもよらないテロを仕掛けられた、ということができますね。


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