2011.05.13

▽吉村昭『関東大震災』

吉村昭『関東大震災』(文春文庫)

1923年(大正12年)に発生した関東大震災――。
その十八年前の明治38年に、今村明常助教授は、地震は百周年を周期として発生すること、明治38年が安政の江戸大地震からちょうど50年にあたること、それゆえに、今後50年以内に東京が大地震に襲われること、そして、その場合には死者数は十万から二十万を超えること、を予想した。この予測は、社会にセンセーションを巻き起こしたものの、地震学者からは非難された。
しかし――。

《萎縮した思いで日々を過ごしてきた今村は、破壊されつくした地震計を見渡しながら、自分の予想が確実に的中したと思った。大地は、依然として激しく揺れ続けている。勝ったという優越感が、かれの胸を熱くした。》(p.45)

本書は吉村昭が関東大震災で何が起きたか? を多角的に描き出した傑作ですが、すでに関東大震災から87年がたっており、また、関東大震災が起きるんじゃないのか、と思ってしまいます……。

[目次]
「大地震は六十年ごとに起る」
 群発地震
 今村説vs大森説
地震発生―二十万の死者
 大正十二年九月一日
 激震地の災害
 東京の家屋倒壊
 本所被服廟跡・三万八千万名の死者
 浅草区吉原公園・娼婦たちの死
 避難場所・上野公園
第二の悲劇―人心の錯乱
 “大津波”“富士山爆発”流言の拡大
 朝鮮人来襲説
 自警団
 列車輸送
 新聞報道
 大杉栄事件
 大杉事件と軍法会議
復興へ
 死体処理
 バラック街
 犯罪の多発
 大森教授の死
あとがき


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