2011.06.18

▽『Amazonランキングの謎を解く』

服部哲弥『Amazonランキングの謎を解く―確率的な順位付けが教える売上の構造』(DOJIN選書)

Amazonのランキングには関心が高いものの、実際のところ、どのように決められているのだろう? そして、それは、どれくらい正確なものなのだろう? と感じている人も多いでしょう。

本書は、そうした疑問に、数学者としての観察と考察を加えています。Amazonの内部情報を暴露したとか、ランキング・プログラムを解析したとかいうわけではなく、あくまでもランキングを観察した上での考察です。念のため。

まず、本書では、Amazonランキングの原則を推測しています。

・1時間に1回更新される
・順位は100万ないし300万位まである
・誰かがAmazonで注文すると、直後のその次の更新で上位へとランキングされる
・注文されない本はランキングが下がる
・累積ではなく、最新の売れ行きを考慮しているらしい
・同時刻に1つの順位の本は1点限りで、同順位や順位の欠番はないようだ

また、ランキングと本の売れる速度の関係は、

・10位が5秒に一冊
・100位が1.5分に一冊
・1000位が30分に一冊
・1万位が7.5時間に一冊
・10万位が36時間に一冊
・50万位が26日に一冊

さらに、著者は、Amazonでは本当にロングテールのビジネスモデルが成立しているか? という問いにも考察を加えています。

《ある時刻のランキングの、たとえば下位9割を切り捨てて、上位1割の本だけを残して書店規模を大幅に縮小したとき、売上の何割を失うか》(p.135)

という問いに対するする答えは、「全体の売上に占める機会損失の割合はゼロに近い」というもの。つまり、Amazonはロングテール・モデルではないそうです。

本書には、難しい数式も多く出てきますが、それらが理解できなくても、読み進めることができます。

また、2ちゃんねるを観察の対象に加えてあったり、考察の参考となるブログなども随所に紹介してあったりして、久しぶりにネットとの良いコラボレーションが実践されている書物を読んだような気がしました。


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