2011.06.10

▽『日本中枢の崩壊』

古賀茂明『日本中枢の崩壊』(講談社)

またしても脱藩官僚(?)の警世の書。

経産省官僚の古賀茂明(現在は大臣官房付)は、安倍、福田政権において公務員制度改革を担当した渡辺喜美(現みんなの党党首)のもとで、2008年7月より公務員制度改革推進本部の審議官となった。

公務員制度改革、つまり公務員の天下り規制は、小泉政権ではあまり進められておらず、安倍政権でも乗り気ではなかったという。しかし、安倍首相が進めていた「美しい国」路線における「戦後レジームからの脱却」の障害となったのが、「戦後レジーム」そのものの官僚システムであり、また、渡辺大臣のがんばりにメディアの注目が集まったことから、安倍首相もこれを後押しするようになった。

安倍首相が最後に手がけた国家公務員法改正は、公務員による天下りの斡旋を禁止するというもので、

《霞が関から見ればとんでもない禁じ手を実現したもの。当然、これに対する霞が関の反発は尋常ではなく、それが官僚のサボタージュを呼び、政権崩壊の一因となったといわれている。》(p.48)

その跡を継いだ福田政権では、公務員改革の気運は後退するが、それでも渡辺大臣の執念により、2008年6月に「国家公務員制度改革基本法」が成立する。著者は、この後、公務員制度改革推進本部の審議官となったが、この直後の内閣改造で、渡辺大臣は退任させられてしまう。

ここから、公務員制度改革は、骨抜きにされていき、民主党政権では、現役官僚の民間派遣といった、さらにたちの悪い天下りも付け加えられていった。

本書を読むと、小泉政権から始まった構造改革路線が、公務員の天下り問題に触れた途端に方向転換させられていった過程がよくわかる。

[参考]
▽小泉純一郎が本当にぶっ壊したものとは?
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2008/10/post-fb1b.html
▽日本国の正体とは?
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/10/post-c558.html
▽なぜ自民党は大敗したのか?――曲解された世論を読み解く
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/01/post-d9ca.html
▽官僚のレトリック
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/02/post-1f9e.html


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