2011.06.22

▽『原子力戦争』

田原総一朗『原子力戦争』(ちくま文庫)

『原子力戦争』は、田原総一朗が1976年に雑誌に連載した小説をベースに、1976年に単行本として出版(1981年に文庫化)されたものの、ながらく絶版になっていたが、福島原発の事故を機に、ちくま文庫から新たに刊行されたものである。

小説のため、主人公である語り手は「関東テレビ」のドキュメンタリー番組のディレクターである「大槻」という人物に設定されているが、これはもちろん田原本人であるのは言うまでもない。「文庫版あとがき」には次のように記されている。

《私は、推進派も反対派も出来得るかぎり取材した。当時、私のような取材の仕方をしたルポルタージュや本は少なかった。推進派か反対派のいずれか一方を取材し、いずれかの立場に立って書かれた例が多かったのである。》(p.341)

そういう意味では本書においては、原発推進派と反対派双方の主張の正しい点やおかしい点、双方の活動の良いところやまずい部分もあまさず公平に描いている。


|

書評2011年」カテゴリの記事