2011.07.03

▽『知事抹殺』――福島が焦点だったと改めて思い起こさせる

佐藤栄佐久『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』(平凡社)

著者の佐藤栄佐久は元福島県知事。在職時は「闘う県知事」として名を馳せたものの、談合事件に関わったという疑惑が取り沙汰され、2006年9月に知事を辞職した。

しかし、この談合疑惑は、当初より「国策捜査ではないか?」との疑念が示されていた。そして、その後の相次ぐ検察不祥事が明らかになり、「国策捜査」との疑いはいっそう強まっている。ただし、地裁、高裁判決とも執行猶予付きの有罪であり、現在、最高裁に上告中である。

国策捜査の引き金を引いたのは何であろうか? この問いに対しての手がかりは、本書には二つ記されている。一つは、2002年に発覚した福島第一原発のデータ改竄事件やプルサーマル計画に関して、東京電力や経産省などとやりあったこと。

そして、もう一つは、小泉政権が2003年6月に発表した道州制導入をめざす「三位一体改革」において、まず県レベルへの権限委譲を進めるべきだと主張したこと。

談合事件の推移を付記しておくと、まず2003年1月に弟の経営する会社の土地取引に関してブラック・ジャーナリズムが動き始めていることが知らされる。さらに、2004年1月にアエラに記事が載る。続いて、2005年4月東京地検特捜部による任意の捜査があり、アエラと同趣旨の記事が読売新聞に掲載。そして、2006年7月になると、弟の会社に家宅捜索が入り、ここから急速に事件化され、知事辞職、逮捕、起訴へと進んでいく。

2005年4月から2006年7月の間に、なんらかの政治的意志の路線変更があったことが伺える。

[参考]
▽当ブログで売れた本――2011年原発関連
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/05/2011-fe88.html
▽墜ちたヤメ検たち
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/12/post-efb3.html


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