2011.07.06

▽『白土三平伝』

毛利甚八『白土三平伝――カムイ伝の真実』(小学館)

白土三平というと、もちろんリアル・タイムでは知りませんでしたが、子供の頃に、『忍者武芸帳』の復刻版を読んだ記憶があります。

忍者ものの劇画と思って読んでいたのですが、エピソードの一つに、農村で孤児となった子供たちが自分たちの城を創って生活を始めるくだりがありました。初めはうまく運営できていたのですが、ちょっとしたいさかいから内部崩壊してしまうという展開で、子供心に「シビアな現実を描くなあ」と思ったものです。

それからだいぶたって、『カムイ伝』の第一部を全集で読んだのですが、最終巻では、一揆の首謀者として捕らえられた主人公が舌を抜かれて反論できない状態にされた上で釈放され、村の仲間から「裏切り者」と誹られる、というシーンがありました。これまた、「権力の恐ろしさ、為政者の狡猾さ」を感じざるを得ませんでした。

本書は、白土三平の伝記で、それぞれの作品の当時の反響や貸本マンガと大手出版社で求められるものの違い、そして、『カムイ伝』を描くために漫画誌『ガロ』を創刊した話、『カムイ伝』第一部の執筆を終えた後に、しばらく宗教的なマンガの方に行ってしまったことなど、いろいろと興味深いエピソードが綴られています。


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