2011.07.19

▽菅直人という男――山本譲司『獄窓記』より

山本譲治『獄窓記』(ぽぷら社)

《後部座席から、追い越しや車線変更など、いちいち細かい指示を出し始めたのだ。都心で車を走らせた経験のない私の運転は、危なっかしく映ったに違いない。そのうち、菅さんは、私の隣に移ってきた。しばらくは、助手席から、私への運転アドバイスを続けていたが、とうとう、自分がハンドルを握ると言い出してしまった。私は、すんなりと運転を代わった。……
 後日、同乗していた支援団体の幹部は、その時のことを振り返って言った。
「山本さんの運転よりも、菅さんの運転の方がよっぽど怖かったよ」》(p.21)

元衆議院議員の山本譲司は、2000年に政策秘書給与の流用事件が発覚して逮捕・起訴された。本書は、その事件の顛末を中心に、自身の政治家としての過去を振り返ったものである。

山本の政治との関わりは、社民連時代の菅直人の秘書としてスタートした。その後、都議会議員を経て、小選挙区に変更後の東京二十一区に民主党から出馬し当選。2000年6月には、二期目の当選を果たし、順風満帆のように思われた。しかし、過去に山本の秘書を務めていた人物から、マスコミや検察に告発がなされ、翌年、執行猶予のつかない実刑判決がくだされる。

山本によると、当時、政策秘書給料の流用は常態化していたというが、そのことについて、山本は口をつぐんだまま、獄につながれることになった。

そして、同じ件で、告発されたのが、当時、社民党の辻本清美であった。学生自体に山本と同じゼミに所属していた辻本は、山本の事件の悪質さを強調することで、自分の罪悪を弱める戦術をとったが、これが山本にとっては、虚偽の内容ばかりであったため、辻本に謝罪を求めることになる。

出所後の山本は、政治家を引退し、福祉関係の仕事をするとともに、本書や『累犯障害者』などを上梓し、ジャーナリストとしても活動している。

一方、現在、運転の荒い菅直人は総理大臣、また、辻本清美は、その補佐官をつとめている。

[参考]『累犯障害者』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/01/post-98fb.html


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