2011.07.10

▽『敗戦処理首脳列伝』

麓直浩『敗戦処理首脳列伝―祖国滅亡の危機に立ち向かった真の英雄たち』(社会評論社)

タイトルに釣られて(笑)。

「敗戦処理首脳」とは、本書の定義では、敗色濃厚になってから首脳(君主、宰相)となり、敗北必至を自覚して戦争終結を視野に入れて活動した首脳ということです。

古代から戦後まで、80人ほどの「敗戦処理首脳」が紹介されているのですが、ちょっとした歴史マニアくらいでは、知らない名前だらけです。

著者の言うように、国家や民族の存亡をかけて敗戦処理をやった「真の英雄」のはずなんですが、歴史にはほとんど名前の残らない「貧乏くじ」だったことがわかります。

日本の「あの戦争」の項目を見てみると、小磯国昭、鈴木貫太郎、東久邇宮稔彦の三人の名が。実際に終戦への道筋をつけたのは鈴木貫太郎ですが、まあ、多少は歴史に名前が残っているほうでしょうか。

[目次]
ペロポネソス戦争 アテナイ テラメネス
ギリシアの反マケドニア戦争 アテナイ フォキオン、デマデス
秦末の動乱 秦 子嬰
晋の呉攻略 呉 張悌
靖康の変 北宋 欽宗
モンゴルの南宋攻略 南宋  文天祥、【参考】恭帝、端宗、帝?
カイドゥの乱 カイドゥ・ウルス ドゥア
コソボの戦い セルビア ミリカ公妃、ステファン・ラザレヴィッチ
南北朝動乱 南朝 後亀山天皇
タンネンベルクの戦い ドイツ騎士団 ハインリヒ・フォン・プラウエン
土木の変 明 景帝、于謙
コンスタンティノープル陥落 ビザンツ帝国 コンスタンティノス一一世
ブルゴーニュ戦争 ブルゴーニュ公国 マリー・ド・ブルゴーニュ
スウェーデン独立戦争 スウェーデン クリスティーナ・ユレンシェルナ
アルカセル・キビールの戦い ポルトガル エンリケ一世
沖田畷の戦い 竜造寺氏 竜造寺政家、鍋島直茂
デカン戦争 ムガル帝国 フサイン・アリー・ハーン・サイイド
大北方戦争 スウェーデン ウルリカ・エレオノーラ、フレデリック一世
ナポレオン戦争 フランス シャルル・モーリス・ド・タレイラン・ペリゴール、ジョゼフ・フーシェ、【参考】ナポレオン二世
第二次エジプト・トルコ戦争 オスマン帝国 アブデュルメジト
米墨戦争 メキシコ ペドロ・マリア・アナーヤ、マヌエル・デ・ラ・ペーニャ
クリミア戦争 ロシア帝国 アレクサンドル二世
ウィリアム・ウォーカー戦争 ニカラグア マキシモ・ヘレス、トマス・マルティネス
パラグアイ戦争 パラグアイ シリロ・アントニオ・リバロラ、【参考】ファクンド・マチャイン
第二次長州出兵 徳川幕府 徳川慶喜
普仏戦争 フランス アドルフ・ティエール
第二次アフガン戦争 アフガニスタン ヤークーブ・ハーン
太平洋戦争( 南米) ペルー ニコラス・デ・ピエロラ、フランシスコ・ガルシア・カルデロン、リサルド・モンテーロ、アンドレ・アヴェリーノ・カセレス、ミゲル・デ・イグレシアス
太平洋戦争( 南米) ボリビア ナルシソ・カンペーロ
フランス・マダガスカル戦争 メリナ王国 ラナバロナ三世
ボーア戦争 トランスバール共和国 シャーク・ウィレム・バーガー
ボーア戦争 オレンジ自由国 クリスチャン・ルドルフ・デ・ウェット
第二次バルカン戦争 ブルガリア ヴァシル・ラドスラヴォフ
第一次世界大戦 ソビエト連邦 ウラジミール・レーニン
第一次世界大戦 ブルガリア アレクサンドル・マリノフ
第一次世界大戦 墺洪二重帝国 カール一世、オットカール・ツェルニン伯爵、イストファン・ブリアン伯爵、アンドラーシ・ギューラ伯爵
第一次世界大戦 オスマン帝国 メフメト六世、メフメト・タラート・パシャ、アフメト・イズト・パシャ、アフメト・テウフィク・パシャ、ケマル・アタチュルク(トルコ共和国)
第一次世界大戦 ドイツ帝国 マクリミリアン・フォン・バーデン、フリードリヒ・エーベルト(ワイマール共和国)
チャコ戦争 ボリビア ホセ・ルイス・テハダ・ソラノ
第二次世界大戦 フランス フィリップ・ペタン
第二次世界大戦 イタリア ピエトロ・バドリオ
第二次世界大戦 フィンランド カール・グスタフ・マンネルヘイム
第二次世界大戦 ドイツ第三帝国 カール・デーニッツ
第二次世界大戦 大日本帝国 小磯国昭、鈴木貫太郎、東久邇宮稔彦
スエズ動乱 イギリス ハロルド・マクミラン
アルジェリア戦争 フランス シャルル・ド・ゴール
ベトナム戦争 アメリカ合衆国 リチャード・ニクソン
ベトナム戦争 ベトナム共和国 チャン・ヴァン・フォン、ズオン・ヴァン・ミン、グエン・バ・ガン、ブ・バン・マウ
ビアフラ戦争 ビアフラ共和国 フィリップ・エフィオング
エリトリア独立戦争 エチオピア メレス・ゼナウィ


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