2011.07.05

▽最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

ジェームズ R・チャイルズ『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』(高橋健次訳、草思社)

以前のエントリーで、事件や事故を前に立ちすくむ人々の行動を分析した『生き残る判断 生き残れない行動』を紹介しました。

▽生き残る判断 生き残れない行動
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/04/post-4e18.html

今回取り上げる本書も、そのタイトルは『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』というもので、そこから私は、最悪の事故に直面した人々の行動について分析した本かと思ったのですが、違いました。

どちらかというと「失敗学」に分類される内容の本です。

▽『「失敗学」事件簿』――あの失敗から何を学ぶか
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/06/post-c197.html

しかし、世界中で起きた「最悪の事故」を取り上げているため、畑村先生の本よりも、ずっとスケールの大きい内容となっています。

もちろんスリーマイル島やチェルノブイリの原発事故は含まれていますし、スペースシャトルの爆発事故、アポロ十三号のトラブル、洋上石油掘削基地の沈没や爆発……などなどパニック映画が作れそうな事故ばかりです。そして、その多くは、「最悪の事故」に至る前に現れていた危険な兆候を見おとしたことが原因となっているようです。

失敗に学べとは言うものの、なかなか学べないのは、世界的に共通したことなのかもしれません。

[本書で扱われるケース]
エールフランスのコンコルド墜落事故(2000年)
海洋石油掘削装置オーシャンレンジャー沈没事故(1982年)
スリーマイルアイランド原発事故(1979年)
スペースシャトル・チャレンジャー爆発墜落事故(1986年)
英国巨大飛行船R101墜落事故(1930年)
米国海軍の近接信管搭載魚雷マーク14の失敗(第二次大戦中)
ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡研磨失敗(1990年)
アメリカン航空DC-10の操縦系故障とそこからの生還(1972年)
アポロ1号の火災事故(1967年)
バリュージェットDC--9の酸素漏れによる炎上墜落事故(1996年)
チェルノブイリ原発事故(1986年)
英国航空機の操縦席窓ガラス脱落事故(1990年)
英国海軍潜水艦セティスの沈没事故(1939年)
アポロ13号の危機の原因となった酸素タンクの異常(1970年)
バーミングハム市のフットボール競技場二階席崩壊を防ぐ(1960年)
ニューヨーク市シティコープビルの強度不足に気づき補修(1978年)
IBMブラジル・スマレ工場の屋根崩落を未然に防ぐ(1971年)
テキサスシティ港湾での硝安肥料の大規模爆発事故(1947年)
ミネアポリスでのオートマチック車暴走事故(1998年)
北海油田掘削プラットフォーム、ハイパーアルファの爆発事故(1988年)
イースタン航空機の計器電球切れがきっかけで起きた墜落事故(1972年)
インド・ボパール殺虫剤工場の毒ガス漏出事故(1984年)
北軍兵士が満載されていた蒸気船爆発沈没事故(1864年)
...ほか


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