2011.07.13

▽『福島原発の真実』

佐藤栄佐久『福島原発の真実』(平凡社新書)

元福島県知事の佐藤栄佐久は、原発事故以前に、『知事抹殺』を発表していたが、

▽『知事抹殺』――福島が焦点だったと改めて思い起こさせる
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/07/post-18be.html

本書『福島原発の真実』では、福島第一原発の事故を受けて、福島の原発問題に焦点を絞って叙述している。内容的には、『知事抹殺』と重複する点も多いが、本書で、新たに浮上した疑惑もある。

2002年8月29日に、福島県庁あてに1枚のFAXが送られてきた。差出人は、経産省資源エネルギー庁原子力安全・保安院。内容は、福島第一・第二原発で1980年代後半から1990年代にかけて、点検データの改竄が行われていた、というもの。2000年7月に、当時の通産省になされた内部告発にもとづいた調査結果という。

調査に2年もかかった理由について、保安院は、内部告発を行ったスガオカ氏は、告発した2000年の時点では、原発の点検作業を行うGEの関連会社GEIIという会社の社員であったが、2001年後半に退職したため、身分を守る必要がなくなり、GEとGEIIへの調査を開始した、と説明した。

しかし、最近になってYoutubeに投稿された『筑紫哲也のNEW23』(2003年放送)
http://www.youtube.com/watch?v=fBjiLaVOsI4

では、スガオカ氏がGEIIを解雇されたのは、1998年。また、保安院は、内部告発した2000年から1年ほどスガオカ氏に聞き取り調査をしただけだったという。

《つまり、原子力安全・保安院は八月二九日の発覚当時、内部告発者の退社時期も、調査の期間についても大嘘をついていた。われわれはまんまとだまされていたのである。》(p.238)

佐藤栄佐久は、もう一つの疑問を提起している。

《なぜあの日、突如として点検データ改竄の問題が明るみになったのかも謎である。……あの告発の表面化は、スガオカ氏とは別の「ホイッスルブロワー」(内部告発者)が、経産省のどこかにいたということではないか。》(p.238-239)


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