2011.08.02

▽『エリーザベト・ニーチェ―ニーチェをナチに売り渡した女』

ベン・マッキンタイアー『エリーザベト・ニーチェ―ニーチェをナチに売り渡した女』(藤川芳朗訳、白水社)

なんで、こんな本を買ったのかよく覚えていないのですが(たぶん『皇妃エリザベート』ブームの時についでに買ったんだと思う)、読み返してみたら面白かったので、ご紹介。

エリーザベト・ニーチェとは、「超人哲学」でおなじみのフリードリヒ・ニーチェの妹。反ユダヤ主義のリーダーと結婚して、南米のパラグアイに入植して「新ゲルマニア」というドイツ人コミュニティを作ります。

しかし、事業としては失敗したため夫は自殺。ドイツに戻ったエリザーベトは、すでに発狂していたニーチェの思想を、反ユダヤ主義と混ぜてナチスの思想として宣伝する、という愚行を行った人物です。

著者によると、エリザーベトの書いたニーチェの伝記は、
《この本によって、彼女自身のゆがんだフィルターを通してでなければ、実質上ニーチェの生涯に、そればかりかその著作にも、近づくことが不可能になってしまった》(p.252)
ほどのでっち上げだったそうです。

本書は、最近同じ出版社から復刻版が出されたようです。

[目次]
序文
第一章 パラグアイ アスンシオンの船着場 一八八六年三月十五日
第二章 未知の国
第三章 川をさかのぼって
第四章 白い貴婦人と新ゲルマーニア
第五章 騎士たちと悪魔たち
第六章 ラマの国のエリーザベト
第七章 権力への意志
第八章 祖国の母
第九章 新ゲルマーニア 一九九一年三月


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