2011.08.08

▽マネー・ボールのその後

マイケル・ルイス『マネー・ボール』 (中山宥訳、ランダムハウス講談社)

えー、いま話題の「ランダムハウス」が、まだ、健全だった頃の一冊を。というか、あまりにも話題になった本なので、いまさら取り上げるのもどうかと思いつつも……。

本書の著者は、主に金融分野での著作を発表してきたジャーナリストのマイケル・ルイス。最近では、サブプライム・ショック、リーマン・ショックの勝者たちを描いた『世紀の空売り』が、世界的なベストセラーとなりました。

▽リーマン・ショックへと至る道――世紀の空売り
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/01/post-f6dd.html

さて、本書のタイトルは『マネー・ボール』。主役は、貧乏球団として知られるオークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーン。

2002年のシーズン開幕時点でみると、年俸の総額がニューヨーク・ヤンキースなどの金持ち球団の三分の一以下にもかかわらず、アスレチックスは、三年連続でプレーオフ出場を果たしていた。アスレチックスの投資効率が良い理由は何か? というのが本書のメインテーマである。

結論から言うと、野球選手を評価するさまざまなデータの中でも、出塁率をもっとも評価し、選球眼の良い選手、特に、他チームが手放すような傷のある選手を、安い年俸で獲得してきたというのがアスレチックス快進撃の秘密であった。

しかし――。

本書の原著は2003年に出版され、アメリカでも大いに話題になったことから、アスレチックス以外の球団でも、出塁率重視の戦略がとられるようになった。その結果、選球眼の良い選手を格安の年俸でかき集める、という戦略がなりたたなくなり、アスレチックスは2007年には9年ぶりの負け越し、2009年には11年ぶりの地区最下位を記録するなど低迷が続いている。

ねぇ……。

でも、他人と違う視点でデータを読むことの重要性を教えてくれる貴重な一冊です。


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