2011.08.28

▽モグラびとのその後――『ニューヨーク地下都市の歴史』

ジュリア・ソリス『ニューヨーク地下都市の歴史』 (綿倉実香訳、東洋書林)

以前、ニューヨークの地下で生活する「モグラびと」を描いたノンフィクションを紹介したことがあります。

▽『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/01/post-bb38.html

この『モグラびと』は、原著が1993年、邦訳が1997年に出版されましたが、最近邦訳が出版された『ニューヨーク地下都市の歴史』では、モグラびとのその後について書かれています。

《かつてリヴァーサイド・パーク地下に存在していた共同体はもはやない。一九九五年までは数百人のホームレスが無人となった整備室や線路脇の自作の小屋に住んでいたらしい。一九九五年四月の消防署からの命令で、一九九七年までにこれらの小屋は計画的に壊され、ホームレスは追い出された。》(p.144)

ということです。とはいえ、「モグラびと」が全滅したかというとそういうわけでもなく、まだまだ彼らが生息している痕跡はニューヨークの地下に行けばいくらでも見つけることができるそうです。

本書の著者、ジュリア・ソリスはニューヨーク在住のドイツ人で、2001年の9.11テロの際は地下鉄に乗っていて、勤務先のテレビで倒壊するWTCビルを見ていたそうです。本書は2002年に"Der Undergrund Von New York"というタイトルで出版されたものの邦訳です。ニューヨークの地下の写真が豊富で、通史的な読み物としても楽しめます。


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