2011.09.12

▽『椅子がこわい 私の腰痛放浪記』

夏木静子『椅子がこわい 私の腰痛放浪記』(文藝春秋)

「この記録はもしかしたら私の遺書になるかもしれない」

というショッキングな書き出しで始まる本書は、女流作家の夏木静子が体験した「腰痛」の記録である。1993年1月に原因不明の腰痛に襲われた夏木は、さまざまな医者にかかるものの、どの医者も腰に異常はみつけられない……。

と、くると、ああ、これは心因性の腰痛で、その原因は、作家という仕事からくるストレスなんだろう……と想像しますよね。実際のところ、そうだったわけで、すでに犯人は割れちゃっているのですが、夏木本人は心因性の腰痛であることを頑として認めません。

本書の後半は、夏木にいかに心因性の腰痛であることを認めさせるか、そして、治癒のために必要なあることを夏木にいかに決断させるか、という医者の努力が中心となります。まあ、ある意味、京極堂による憑き物落としにも似てなくもないですが。

ちょっと古いですが、心と体の関係について改めて考えさせてくれる一冊でした。


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