2011.09.22

▽『日本の地名』――地名の謎を探る

筒井功『日本の地名---60の謎の地名を追って』(河出書房新社)

日本の地名は意味不明のものだらけ――。

この理由として、著者は、地名が誕生した時期の古さを指摘する。つまり、文字が誕生する前に生まれた地名が口伝えで継承され、後に文字が当てられた地名が多いからだという。

また、著者は、地名に関して研究者が少ないことも地名の意味がわからないことの原因の一つと指摘する。その結果、こじつけや言葉遊びのような解釈が横行することになった。とりわけ、珍しい地名は外国語、特にアイヌ語や朝鮮語由来のものだ、とされる傾向にあるという。

著者がよって立つ民族学的な認識は
・縄文人は日本列島の先住民でありアイヌもこれに含まれる。ただし、アイヌ人と他の縄文人が同じ言葉を話していたかはわからない
・後から日本に渡ってきた弥生人の言葉は、現代日本人と同系の言語である
というもの。

本書には、60に分類された難しい地名、珍しい地名が取り上げられている。そもそも、こんな地名があったのかと驚かされるものが多い。地名研究の分野はまだ緒についたところというが、わからない部分も含めて、民族学的な興味はつきない。

[60の謎の地名]
一口(いもあらい)
間人(たいざ)
由比(ゆい)/手結(てい・たゆ)
一青(ひとと)/神鳥谷(ひととのや)
大歩危(おおばけ)/坂下(ばんげ)
江差・枝幸・江刺(いずれも、えさし)
特牛(こっとい)
幽ノ沢(ゆうのさわ)/夕沢(ゆうさわ)
大滝(おおぜん)/滴水(たるみず)
丁(よろ)/丁子(ようろご)
白拍子(しらびょうし)
鰻(うなぎ)
閖上(ゆりあげ)/小淘綾(こゆるぎ)
点野(しめの)/禁野(きんや)
熊押(くまおす)/猿押(さるおす)
左沢(あてらざわ)
遠敷(おにゅう)
生野(いくの)/千歳(ちとせ)
厳木(きゅうらぎ)/教良石(きょうらいし)
城下(ねごや)
美守(ひだのもり)
泪橋(なみだぼし)/思案橋(しあんばし)
下呂(げろ)/上呂(じょうろ)/中呂(ちゅうろ)
風呂ケ浴(ふろがえき)/桑林(くわぶろ)
蛇穴(さらぎ)/蛇穴(じゃけつ)
及位・莅(ともに、のぞき)
古凍・古氷(ともに、ふるこおり)
大分(おおいた)/潮来(いたこ)
串(くし)/串本(くしもと)
奥武(おう)/青籠(あおぐむい)
軽井沢(かるいざわ)/王余魚沢(かれいざわ)
轆轤(ろくろ)/轆轤師(ろくろし)
倭文(しとり)/設楽(したら)
塔ノ岪(とうのへつり)
一日市(していち)/廿九日(ひづめ)
貝野瀬(かいのせ)/皆葎(かいむくら)/海野(かいの)
私市・私都(ともに、きさいち)/象潟(きさかた)
太秦(うずまさ)/斑鳩(いかるが)
清博士(せいばかせ)
小童(ひち)/小童谷(ひじや)
乙女(おとめ)/八乙女(やおとめ)
廿六木(とどろき)/百笑(どめき)/百々女鬼(どどめき)/土泥(とどろ)/堂々(どうどう)
十六島(うっぶるい)
乞食(ほいと・こじき)/盗人(ぬすっと)
人喰谷(ひとくいだに)/人穴(ひとあな)
百済来(くたらぎ)
連雀(れんじゃく)/旦過(たんが)
奈良(なら)
歌(うた)/善知鳥(うとう)
強羅(ごうら)/五郎(ごろう)
御坊(ごぼう)/談議所(だんぎしょ)
桜(さくら)/桜島(さくらじま)
坊ガツル(ぼうがつる)
姥ケ懐(うばがふところ)
野呂(のろ)/芝(こうげ)
塙(はなわ)/圷(あくつ)
矢作(やはぎ)/筵打(むしろうち)
市ケ谷(いちがや)
沓掛(くつかけ)/鍵掛(かぎかけ)
神庭(かんば)/神代(こうじろ)


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