2011.10.10

▽『国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウントダウン』

松田千恵子『国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウントダウン』(朝日新書)

非常に刺激的なタイトルの本書ですが、内容はしごくまっとうなものです。当たり前のこと過ぎて、読んでいるうちに、眠くなってしまうほどです……。

むしろ、このような常識が国民の間で共有されていない(ように見えるのは)のはなぜだろうか? という方に関心が向いてしまいます。

著者は、日本と同じように財政問題を抱えているイギリスのキャメロン首相の政策を引き合いに出します。キャメロン首相は2015年までの財政改革のプランを作り、さまざまな反対を押し切って実行にうつし、英国債の格付け引き下げ回避に成功します。

《日本で気になるのは、こうした事業再生(国家再生)のプロセスが、「鎮火」「実行」「成長」といった一連のストーリーとして語られず、「鎮火派=財政再建派」、「成長派=上げ潮派」、といったような二者択一のものとして扱われ、どちらかをとれば他方は二度とできないに等しい扱いがなされたり、すべての施策が同時に行えるような幻想をふりまくようなものだったりすることです。》(pp.139-140)

こうした状況が生じる原因として著者は、「時間軸と優先順位の概念がない」(p.140)こと、「将来の日本の姿という大きな展望が欠けている」(同)ことを指摘しています。

財政問題をわかりやすく、かみ砕いて解説してくれる良書です。


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