2011.10.12

▽暴力団もツライよ――『暴力団』

溝口敦『暴力団』(新潮新書)

本書の発売が9月20日。吉本興業の島田紳介が引退を表明したのは8月23日だったので、それ以前から企画されていたのでしょうが、とてもタイムリーな一冊となりました。若干ですが、芸能界と暴力団との関係の部分で、島田紳介についても触れています。著者は、2005年の時点で、暴力団との関係を指摘していたとのこと。

さて、本書に書かれている内容自体は、あまり目新しいものはありませんが、山口組の弘道会の最近の動向については、さすがに、この分野の第一人者といえる詳しさです。

弘道会とは、山口組の六代目組長を輩出している中核団体ですが、最近は、警察官の個人情報を集めて捜査妨害をしたり、「十仁会」というヒットマンを集めた秘密組織を作ったり、大阪府警の取り調べ時の暴行に対して損害賠償を勝ち取ったり、と、警察との敵対的な態度を強めているようです。

これは暴力団の実態が、存在を容認されたヤクザというよりも、過激派のような非公然組織に近づいてることの現れなのだそうです。こうした「マフィア化」をもたらしている最大の要因は、1991年に暴対法が施行されて以来、暴力団に対する締め付けが厳しくなったことにあるのだそうです。

各自治体で相次いで施行されている「暴力団排除条例」もこうした傾向に拍車をかけることになりそうです。


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