2011.11.28

▽『弱い日本の強い円』と『日本の破綻を防ぐ2つのプラン』

佐々木融『弱い日本の強い円』(日経プレミアシリーズ)

小黒一正x小林慶一郎『日本の破綻を防ぐ2つのプラン』(日経プレミアシリーズ)

話題の経済書二冊より。

一つ目は、佐々木融『弱い日本の強い円』。為替のわかりにくい部分を、わかりやすく書いてあるものの、やっぱり、どうにもわかりにくい(笑)。というか、そもそも為替を決定づける単一の要因などはないことに、そのわかりにくさは起因するのですが……。

ところで本書の中で気になったのは、103ページの《これを「デフレ」と呼ぶべきか?》のグラフ。

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《ここで指摘したいのは、過去約20数年の間、日本はデフレスパイラルどころか「長期間デフレで悩まされている」と言えるかどうかも微妙な状態にあったということである。実は、単純に「物価が安定していた」だけと言えなくもないのである。》(p.104)

ねぇ……。

もう一点、興味深かったのは、日銀が2001年3月から2006年3月まで実施した量的緩和と円安の関係。

《円キャリー・トレードを背景とした「円安バブル」が本格的に進展していたのは、日銀が量的緩和政策を解除した後だったのである。……日銀の量的緩和政策終了前後で円安が加速していった理由は、日本と他国の金利差が拡大していったからなのである。》(pp.191-193)

なるほど!

もう一冊は、小黒一正x小林慶一郎『日本の破綻を防ぐ2つのプラン』。すでに日本の公的債務は危機的な水準にまできている。本書は、この公的債務の削減を図る2つのプランを提案している。

一つは、世代間の不公平を是正し持続可能な財政・社会保障を構築させるためのもっとも適切な正攻法(プランA)であり、もう一つは、マクロ経済政策による財政破綻の回避とダメージ緩和策(プランB)である。

具体的なプランについては、本書を参照していただきたいが、そもそも、この公的債務が積み上がった根本原因は何だろうか? 本書では、1980年代のバブルが崩壊したことによって発生した数百兆円にものぼる不良債権にあった、と指摘する。

《つまり、日本の90年代の景気対策も、民間のバランスシートの穴を政府部門に移転するプロセスだったと理解することができる。政府負債(国と地方の長期債務残高)は、90年代初めの約250兆円から現在の約850兆円までこの20年で増えている。そのかなりの部分は、バブル崩壊で民間のバランスシートにあいた穴(過剰債務)を政府がかき集めて肩代わりしたものだとみなすことができよう》(pp.165-166)


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