2011.11.20

▽ストリンガー戦記――『さよなら! 僕らのソニー』

立石泰則『さよなら! 僕らのソニー』(文春新書)

ジャーナリストの立石泰則は1994年からソニーについての取材を継続して行っている。本書は、出井時代のソニーに期待しながらも、その後を継いだストリンガー時代に失望させられた著者の、ソニーに対する決別の書である。

まあ、まだソニーは復活する可能性も残ってるわけですから、「さよなら!」などと簡単に見捨てちゃあ可哀相だとは思いますが……。

私が、興味深く読んだのは、第六章以降のストリンガー時代の内幕について。

2005年3月、当時の出井社長は、対立する久夛良木副社長と刺し違えるかたちで退任し、ストリンガーを会長兼CEOに任命した。

その頃、ストリンガーはソニーを辞めて家族の住むイギリスでリタイアしようと考えていた。つまり、おおかたの見方はストリンガーは、あくまでもワンポイント・リリーフであった。

《ストリンガー氏をのぞく出井氏を始めソニーの幹部のほぼ全員が、ストリンガー氏のCEO任期を二年ないし三年、長くても数年と見なしていた》(p.214)

しかし、その後、ストリンガーは、着々と自分の腹心の部下を配置するとともに、発言力のあったOBを排除し、ついに2009年に会長と社長を兼務するCEOとして君臨するようになった。本書では、社外取締役を籠絡した、とも指摘されている。

ストリンガーは、ソニーの中核事業だったエレクトロニクスよりも、コンテンツをネットワークで結びつけるビジネスを重視しているが、そのビジネス・モデルは、まだ構築できていないようだ。

さて、ソニーの復活はなるかどうか。

[目次]
第1章 僕らのソニー
第2章 ソニー神話の崩壊
第3章 「ソニーらしい」商品
第4章 「技術のソニー」とテレビ凋落
第5章 ホワッツ・ソニー
第6章 黒船来襲
第7章 ストリンガー独裁
最終章 さよなら! 僕のソニー


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