2011.11.14

▽どうする? 日本企業

三品和広『どうする? 日本企業』(東洋経済新報社)

日本企業がだめだめな理由を語る場合には、自動車やエレクトロニクス、IT産業が引き合いに出されることが多いのですが、本書では、時計メーカー、ピアノ・メーカー、鉄鋼業と比較的地味めな企業がケーススタディとして取り上げられます。 
注目の高い花形産業以外では、地味にこつこつと利益を上げているかと思ったら、実は……と、ちょっとガッカリさせられます。

まず、時計メーカーとしてはセイコーのケースが取り上げられます。こまかい話は省力しますが、セイコーは、クォーツ時計でスイスの時計産業を壊滅状態に追い込んだのですが、その後の戦略がまずく、低価格品では中国製品に、ブランド品では複数ブランドを擁するスイスのスウォッチに負けてしまいます。

次にピアノ・メーカーとしてヤマハが取り上げられます。ヤマハは大量生産で廉価なピアノで、高級ブランドのピアノを制しますが、やはり中国のような新興国に追い上げられ、しかも、高級ピアノの音質やブランド力では欧州勢にはかなわない、というジレンマを味わわされています。

最後に鉄鋼業。1989年には鉄の生産量で世界一にたったものの、そのわずか4年後には中国に抜かれてしまいます。その後の鉄鋼メーカーは、雇用を守るためにさまざな多角化事業に手を染めますが、どれもうまくいきません。さらに、半導体製造にも大きな期待をかけましたが、これも世界的に競争の激しい世界で失敗。

あらためて指摘されてみると、なるほどと思わざるをえませんし、日本経済が停滞している理由もよくわかりますね。

[目次]
第1章 本当に成長戦略ですか? 日本が歩んだ衰退の道
第2章 本当にイノベーションですか? 腕時計が刻んだ逆転劇
第3章 本当に品質ですか? ピアノが奏でた狂想曲
第4章 本当に滲み出しですか? 鉄が踏んだ多角化の轍
第5章 本当に新興国ですか? 日本が教えた開国攘夷策
第6章 本当に集団経営ですか?


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