2011.11.28

▽TSUTAYAの創業とディレクTVの失敗から学んだこと――『情報楽園会社』

増田宗昭『情報楽園会社』(復刊ドットコム)

《個人で二百億の負債を背負い、責任を持って会社を運営しようとしても、理解されず、説得できないと悟った時、この戦いは負けるかもしれないと思った。負けるということは、二百億円の借金が残り、CCCを失うということだった。そう思った瞬間から、目で見る風景から立体感がなくなり、写真のように見えるようになった。さらに、においを感じないし、自分で話している声がずっと遠くのほうで聞こえてくる。すべての五感が狂いだし、その当時はたぶん精神的におかしくなっていたんだと思う。
 人生終わったな。そう思った。》(pp.265-266)

本書は、1996年に刊行された『情報楽園会社』に、加筆修正したもので、「TSUTAYAの創業とディレクTVの失敗から学んだこと」というサブタイトルがつけられている。

1996年版では、TSUTAYAの創業から全国展開までの体験談と、これから始まるディレクTVの夢を語ったところで終わっている。しかし、1996年に放送を開始したディレクTVは2000年には終了してしまい、わずか4年の命だった。

成功譚と失敗譚、いずれも示唆に富む一冊である。

[目次]
第1章私の企業事始め
誰もがすぐ理解できるキーワードを探せ
ビデオは本である
「売上げゼロ」からの発想

第2章 カルチュアコンビニエンスの時代
 レンタルビジネスは金融業である
 消費とは選択である
 情報ショップのCD-ROM化

第3章 知的情報革命を見切る
 知的モノ不足の時代
 何を、どう「見切る」か
 これからの市場をリードする世代

第4章 起業家・二つの宇宙
 「内なる宇宙」の声を聴け
 企業を立ち上げていく原則
 サラリーマン時代の十年間

第5章 企画会社だけが生き残る
 企業に組織は必要か
 企画とは何か
 企画会社の条件とは何か
 組織より個人重視の時代

第6章 起業のプログラム
 私の創業精神
 蔦屋書店の出店企画書
 信用をつくる
 「四つの得」と「セオリーC」

第7章 フランチャイズビジネスの考え方
 フランチャイズはなぜ失敗するか
 資本金百万円の会社に一億円のコンピュータ
 フランチャイズ三つのパワー

第8章 ネットワークヴァリューの威力
 情報を共有する仕組み
 文化を売るためのノウハウを売る
 情報をデータベース化する

第9章 経営者の立場、社員の立場
 仮説を立てて失敗しろ
 「やる」といった人間にまかせる
 大事なのは人間としてのハートの奥深さ

第10章 デジタル情報革命と心の時代
 大企業信仰と心の喪失
 精神的なひもじさがいちばんつらい
 私が戦う土俵

第11章 TSUTAYAがつくるネットワーク社会
 マルチメディア化の流れをどう取り込むか
 パッケージからノンパッケージへ
 理解するにはまず体験せよ

第12章 ディレクTVへの進出
 世界最大のビデオレンタルシステム
 レントラックの窮地を救う
 ディレクTVとの衝撃の出会い

第13章 テレビの意味を変えるディレクTV
 二百チャンネルのデジタルテレビ
 マルチメディア時代のビジネスチャンス
 デジタル衛星放送は何が違うか

第14章 私が考える「楽園」づくり
 ゴードン・ムーアが予言した世界
 個人を幸福にする「楽園」づくり
 私自身のための「楽園」

あとがきにかえて

第15章 ディレクTVの失敗から学んだこと
 「楽園」の崩壊
 「楽園」の裏側
 「拒否権」の恐ろしさ
 ディレクTVの失敗で失ったもの
 経営とは失敗の許容である
 ディレクTVの失敗で得られた人脈、そしてナレッジ

本書復刊によせてのあとがき


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