2011.12.15

▽どすこい出版流通

田中達治『どすこい出版流通』(ポット出版)

ISBNというものをご存知でしょうか?

本の奥付やカバーに記された識別番号のようなもので、出版物の発行された国や出版社などを指し示します。

これは、一つ一つのタイトルに固有に割り振られた番号だと思っていたのですが、『どすこい出版流通』によると、国と出版社を意味する部分以外は、それぞれの出版社が勝手に割り振っており、タイトルと番号を結びつけるデータベースは存在しないそうです。

《現実には同じコードで複数の本があったり、あるいは同じ本なのにいくつものコードを持っていたり、ないはずの会社のコードのついた本があったりで、そうとうにヤバイ状態らしいのである。》(p.114)

さらに、大量に返品された本に新しいISBNを割り振って新刊として再出荷したり、最終桁の自動的に決められるチェックデジットを社内用の分類番号として勝手に使用している出版社もあるそうです。

本書は、筑摩書房の「営業通信」をまとめたもので、著者は2007年10月に亡くなられている。本書には、出版流通の問題点が率直に記されています。

ISBNの問題にしても、流通の管理に不可欠な識別番号に欠陥があっては、どうにもなりませんよね。こうした出版流通の改善に着手すれば、まだまだ出版業にも効率化の余地は残されているのではないかと思います。


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