2011.12.14

▽誰でも電子書籍は作れるが……

米光一成x小沢高広x電子書籍部『誰でも作れる電子書籍』(インプレス)

2010年に起きた、何度目かの「電子書籍元年ブーム」のさなかに出版されたのが本書。

著者らは、口先だけの煽り屋ではなく、電子書籍を対面販売する「電書フリマ」なども開催している実行派。巻末には、電子書籍に関する書籍の紹介や、電子書籍作成ソフトの紹介もある。

なるほど電子書籍の可能性はよくわかります。

しかし……。

最近、以下のようなツイートをみかけました。これは、いまだに人気のある漫画「キン肉マン」の原作者が、ウェブ版の連載を始めたものの、期待通りには読まれていないので、読んでね、と呼びかけているものです( http://togetter.com/li/199730 )。

《「キン肉マン・ザ・マシンガスンズ空白の三日間」大傑作なんですがWebなんでなかなか読んでくれる方少ないんで応援よろしくお願いします。》

これに対して、ある読者が次のような返事を寄せています。

《ぶっちゃけますが、週プレに連載されていたキン肉マン2世含め、紙の雑誌だと買ってでも毎週読んでた漫画が、Web連載に変わってから「無料なのに、前より全然読まなくなった」のは事実でした。毎週読むつもりなんだけど、本屋やコンビニで目に付かないから忘れちゃうんですよね・・・》

さらに

《電子書籍とかが「紙と同じ値段だと割高感がある」とか、「携帯からの課金が面倒」とか色々問題があるのは事実として、ただそういう表面的な問題よりも、「そもそも無料でも読まない」って自分の実体験を通して難しい部分があると思った》

要するに、「目に付かないから忘れちゃう」ことが電子書籍の致命的な欠点といえるかも知れません。

これをどう考えるか?

紙の出版物は、目に触れる機会が多いので、買ってくれる人がいる。だからといって、無限に印刷して配本できるわけではない。なぜなら、返本された場合には利益が減るからである。

つまり、紙の出版事業とは、返本リスクを「広告宣伝費」とみなしうる、出版物の広告宣伝事業ではないか、と。

だから、いくら優れた電子書籍を作っても、広告宣伝には、それなりの費用をかけなければ売れないのであり、また、そのコストを上回る利益を上げないと事業としてはなりたたないのではないか。

要するに、電子書籍は誰でも作れますが、それを採算にあう事業として運営していくのは、まだまだ難しいのではないかと思います。


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