2011.12.20

▽ヤクザと原発

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文藝春秋)

本書は、『潜入ルポ ヤクザの修羅場』などのヤクザもので知られる鈴木智彦による正真正銘の福島原発の潜入ルポです。

▽『ヤクザの修羅場』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/03/post-c327.html

『ヤクザと原発』というタイトルの通り、いかに日本のヤクザが原発や、それに絡む利権に食い込んでいるか、を明らかにしていきます。

また、潜入ルポだけあって、実際に福島原発の事故処理に関わる人達の本音が引き出されていて、非常に興味深い記録となっています。

著者は、本書の出版にあわせて、外国特派員協会で記者会見を開いており、その一部は、インターネットで読むことができます。

▼冷温停止宣言の裏に潜む「ずさん工事」の現状
http://blogos.com/article/27119/
《原子力発電の是非はともかく、福島第一原発の現状は、はっきり言ってアウトの状態です。アメリカ軍が当初避難区域を80キロに設定しましたが、それが正しかったと思っています。数値を実測すると福島の中通りあたりは線量も高く、汚染もひどく、完全に管理区域です。一般人の立ち入りを禁止すべき場所です。にも関わらず、日本の基準はいわき市、福島市、郡山市の大都市を避難させないという前提の下で20キロに引かれたものであろうと思います。僕の取材した、全ての原子力関係の技術者は、「本来は住んではいけない場所に住んでいる」「原発の中で生活しているのと同じ」と言っています。》

また、本書の最後の方に十数行記載されているだけですが、どうも福島第二原発も、原子炉建屋が破壊されない程度の水素爆発があり原子炉(圧力容器)の底が抜けているのではないか、との疑惑も指摘されています。

原発事故の全貌が明らかになるのは、おそらく、ずっと先のことになるのではないかと思われます……。


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