2011.12.25

▽筑摩書房――それからの四十年

永江朗『筑摩書房 それからの四十年 1970-2010』(筑摩書房)

本書は、筑摩書房の社史です。

筑摩書房というと1978年に一度倒産しているため、1970年までが書かれた「三十年史」が唯一の社史となっていました。しかし、2000年代に入ってベストセラーを出すなど、少し余裕ができたのか、フリーライターの永江朗に委託して、その後の四十年史を書かせたのが本書です。

1978年の倒産当時、大学生として筑摩書房にあこがれを持っていた著者は、本書を書き終えた後、「あとがき」で次のように指摘します。

《倒産直前の筑摩書房は腐りきっていました。なかでも許しがたいのは「紙型再販」です。つまり、同じコンテンツの使い回し。紙型=印刷するときの元版を再利用して、あたかも新しい本であるかのように見せかけ、読者に売りつけようとしました。》(p.348)

では、著者は、現在の出版界をどうみているか。

《筑摩書房と同じようなことを、業界全体でやっているように思えてなりません。……同じコンテンツやオリジナルの劣化コピーとしか思えないような本ばかりが、ざくざく出ています。……このままでは、日本の出版界の一九七八年七月一二日が来るのではないか……。》(p.349)

筑摩書房といえば、メインストリームの出版社とは言えない独特の存在ではあるものの、本書は、出版界を写したネガ・フィルムとして読むことができます。


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