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2012年1月

2012.01.31

▽「フクシマ」論――原子力ムラはなぜ生まれたのか

開沼博『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)

著者の開沼博は、2006年に六ヶ所村にフィールドワークに行った際に、原発関連施設に関する地元の受け止め方とメディアでの伝えられ方のギャップに気づき、日本でもっとも古い福島原発の調査を始めたという。それは、日本の経済成長を支えてきた「無意識のうちで是としているもの」を解き明かそうとする試みであった。

[参考]▽『私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2012/01/post-c613.html

本書は、その研究成果をまとめたもので、原発事故直後に出版され大きな注目を集めてきた。

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2012.01.30

▽『凶悪』――ある死刑囚の告発

「新潮45」編集部『凶悪』(新潮社)

死刑判決をめぐり最高裁まで争っていた殺人事件の犯人が、獄中から、ある告発を行った。

事件を指揮した主犯は別にいる、という。

「先生」と呼ばれるその人物の周辺では、不可解な事件が続いていた。本書は、この事件の真相を明らかにする、迫真のノンフィクション。

「先生」は逮捕される一方で、告発をした殺人犯の裁判はストップし、実質的に、延命されることになってしまった――。

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2012.01.29

▽大停滞

タイラー・コーエン『大停滞』(池村千秋訳、NTT出版)

本書『大停滞』(原題: The Great Stagnation )は、アメリカの経済学者タイラー・コーエンが、当初、電子版で出版したものの、注目が高かったためにペーパー版も出版されたものです。

《さまざまな分野でイノベーションが期待外れとどまっているとしても、少なくともある一つの分野では、大半の人の予想より多くのイノベーションが成し遂げられている。その分野とはインターネットだ。》(p.74)

著者によると、ここ二十年間で唯一のイノベーションであったとも言える「インターネット」を活用する企業の多くは、かつての製造業などと比べると、あまり雇用を創出しない。

また、流通業などでも「中抜き」が起きるために、雇用を減らす可能性もある。さらに、ITや、それを活用した金融業では、一部の優秀な人材がいれば良いので、そこに富は集中し、結果として、普通の人達の賃金は頭打ちとなっていく。これがアメリカなどの先進国を襲う「大停滞」の実態である――

というような、割と腑に落ちる説を展開しています。

また、解説者である若田部昌澄の「日本の場合はデフレが続いていることが停滞の要因ではないか」との問いに対して、コーエンは、「日銀がよい仕事をしているとは思わないけれども、25年も続く停滞が貨幣的要因によるものとは思われない。」(p.162)と答えています。

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2012.01.28

▽なんでコンテンツにカネを払うのさ?

岡田斗司夫x福井健策『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』(阪急コミュニケーションズ)

《福井 著作権は確かに厄介な存在です。しかし、100年以上の期間をかけて構築されてきた、血と汗の結晶でもあります。だから、生半可なことで突き崩せるようなヤワな相手じゃないんですよ。体系としてなかなかうまく組み上がった法律であり、それがデジタル化の中で機能不全を起こしかけているから厄介なんです。これほどきちんと組み上がったものでなければ、5年やそこらでぽーんとモデルチェンジできてしまえたんでしょうけどね。》(p.64)

《岡田 エンターテイナーにせよ他の職業にせよ、その職能さえあれば食べていけるという時代があって、その後一握りのトップしか食べていけなくなる。そういう変化をへるんじゃないでしょうか。
 ……日本中の全クリエイターを合わせて、創作収益だけで食えるのは1000人くらいじゃないでしょうか?》(pp.103-104)

岡田斗司夫と、著作権に問題に詳しい弁護士の福井健策による対談。書籍の自炊問題から、今後のクリエイターのビジネス・モデルまで、思考実験的に語り合う。

本書では、特に結論が得られるわけではないのですが、何について考えれば良いかのポイントは得られると思います。

[目次
Chapter 01:電子書籍の自炊から著作権を考える
電子書籍の自炊はいけないこと?
家族が1万人いたら、自由に「私的複製」してもいい?
バイトを雇って「自炊」するのはOK?
スキャンしたあとの書籍は、処分しないといけないの?
私的複製の範囲をコントロールするDRMの問題
自由にコピーしてよくなったら、売り上げは減る?

Chapter 02:著作権法は敵か味方か?
意外に新しい著作権という考え方
プラトンとアリストテレスとダイエット
作品で食っていけるクリエイターなどいなかった
法律で遊ぶのは大人の務め
クリエイターの稼ぎと流通の促進のバランス

Chapter 03:コンテンツホルダーとプラットフォームの戦い
著作権がないと社会はつまらなくなる?
日本はコンテンツ輸入国だ
コンテンツホルダーは強者なのか?
著作権保護は終わりのない撤退戦?
力を持つのはプラットフォームか?
カネはいらないとクリエイターが言い出したらどうなる
広告収入モデルはクリエイターを救うか

Chapter 04:クリエイターという職業
野球でメシは食えない
プロとして食えるのは日本で1000人
創作で食えなくてもいい!
僕たちが欲しいのはコンテンツではない
人はライブの体験にお金を払う
「タニマチ」がクリエイターを救う
つまらないけど豊か、貧乏だけど楽しい、どちらを選ぶ?
あらゆる産業がシュリンクする
人はデジタルというパンドラの箱を開けてしまった
コミケに地域通貨を導入する
救うべきは貧乏なクリエイターではない

Chapter 05:ネットの中に国家を作り上げる
全メディアアーカイブ構想とは?
オプトアウトで大量のコンテンツを集める
コンテンツと一緒に石けんも売ろう
圧倒的な力を持つ米国発プラットフォーム
僕たちは二重に税金を支払っている
マネタイズを諦めれば、奴隷から解放される
総合コンテンツ企業「株式会社日本コンテンツ」
経済のありようが変わる
著作権、そしてコンテンツの未来は私たちにかかっている

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2012.01.27

▽ゴジラ音楽と緊急地震速報

筒井信介『ゴジラ音楽と緊急地震速報』(伊福部達監修、ヤマハミュージックメディア)

チャランチャラン 緊急地震速報です――。

突然、テレビから流れてくる、このチャイムは、東日本大震災の際、「ゴジラのテーマからつくられたらしい」というまことしやかな噂が流れました。

本書によると、この噂は、当たらずとも遠からず、ということのようです。なぜかというと、ゴジラのテーマ曲を作曲した伊福部昭が作曲した交響曲で使われた和音の部分をもとに、昭の甥で福祉工学を専門とする伊福部達東大教授によって作曲されたもの、というのが事実とのこと。

《なぜ伊福部教授に緊急地震速報チャイムの依頼が来たのかというと、この音は健聴者はもちろん、できるだけ多くの聴覚障害者や加齢性難聴者(耳の遠くなった高齢者)の注意も惹くように作る必要があった。そこで、教授の専門が“福祉工学”という聴覚障害や視覚障害に関する学問であることから、白羽の矢がたったのだ。》(p.5)

「緊急地震速報」に秘められた謎が明らかになります。

[目次]
プロローグ 東日本大震災と緊急地震速報チャイム
第1章 ゴジラ音楽と映像音楽四原則
第2章 聴覚の不思議
第3章 音の福祉工学と聴覚の世界
第4章 伊福部達と蝋管再生プロジェクト
第5章 チャイム音の製作―課題と検証
第6章 福祉工学が秘める可能性
エピローグ チャイム音製作の三原則

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2012.01.26

▽電子部品だけがなぜ強い

村田朋博『電子部品だけがなぜ強い』(日本経済新聞出版社)

日本の電機業界は総崩れの状態にありますが、それでも、利益を上げ続けている部品メーカーは少なからずあります。

その部品メーカーの強さにフォーカスを当てて、具体的に企業をあげて分析を行ったのが本書。ちょっとポジティブポジティブし過ぎな気もしますが、有益な知見も得られます。

価格競争から逃れるためには、世界で勝てる事業をめざせ、ブランド価値をつけろ、消費財よりも生産財の方が値下げ圧力は小さい、などなど……。

ちょっと論説のまとまりに欠けるきらいはありますが、本書にはいろいろなヒントが提示されていると思います。

[目次]
はじめに
序 日本が誇る電子部材産業
I 盛者必衰。事業環境は厳しくなる
II 「世界で勝てる企業」だけが生き残る
III 価格競争の呪縛からの脱却――東京から一番遠い町
IV 中核技術の認識とその展開――「滲み出し」「段々畑」「跳躍」
V 事業の大胆な見直し――自らを否定する強さ
VI 事業モデルの検討――競争を「ずらし」、競争せずして勝つ
VII 外部経営資源の活用――英知をつなぐ
VIII 金持ちA様、貧乏B様――経営者の決断が企業の命運を決する
IX 理念と文化が世界1位を育てる
エピローグ ノブレス・オブリージュ――日本に製造業を残すために
最後に。お礼に代えて
本文注

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2012.01.25

▽『日本のソブリンリスク』

土屋剛俊・森田長太郎『日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略』(東洋経済新報社)

消費税の増税問題にからんで、日本の財政に関する懸念は日々強まっています。

本書は、証券会社のアナリストとステラジストによる日本のソブリン・リスク、つまり、日本国債(JGB=Japanese Governemnt Bond)の破綻可能性に関する解説書です。

書かれていることはオーソドックスな内容ですが、十年以上前から破綻する懸念があると言われている日本国債が、それでも、なぜ買い続けられ、相対的に、割高=低金利になっているのか? についての説明は興味深い。

まず、日本の機関投資家にとって資産運用とは融資が本業であり、債券投資は副業である。副業である債券投資には、経営資源を投入したいと考えず、その一方で、リスクをとりたくない。そのために、高い格付けが維持されている日本国債が投資先に選ばれ、割高な状態が続いている、という。

要するに、機関投資家ですら、何も考えずに惰性で日本国債を買い続けている、ということになるわけです……。

[目次]
第1章 ソブリンリスクの論点整理
第2章 未曾有の領域に入ったJGB運用の世界
第3章 日本のソブリンリスクについて考える
第4章 日本のソブリンリスクの将来
第5章 信用リスクと投資運用戦略【基本編】
第6章 信用リスクと投資運用戦略【応用編】

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2012.01.24

▽新聞が消える?

アレックス S. ジョーンズ『新聞が消える ジャーナリズムは生き残れるか』(古賀林幸訳、朝日新聞出版)

以前、アメリカのジャーナリズムにおける盗作と捏造問題を扱った本を紹介したことがあります。

▽『捏造と盗作』――米ジャーナリズムに何を学ぶか
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2012/01/post-9bc5.html

ここでは、2003年にニューヨーク・タイムズ紙で発覚したジェイソン・ブレア記者の捏造についても考察されています。

ジェイソン・ブレア記者が捏造した記事の一つに、イラクで捕虜になった後に救出されたジェシカ・リンチ上等兵の家族に関する記事がありました。

ブレア記者は、家族のもとに取材にも行かず、その家は窪地にあったのに丘の上にあったと書き、ありもしないタバコ畑や牛の放牧地が見渡せた、と捏造した。

しかし、本書『新聞が消える』の著者アレックス・ジョーンズは、もっと別のことに驚きを示しています。

《それと同じくらいひどかった、いや、わたしがそれ以上にひどいと思ったのは、一家がその記事を見たとき、明らかな捏造について「冗談だと思った」と発言したことだった。……家族は、最近のジャーナリズムは――ニューヨーク・タイムズも含めて――そんなものだと思っていたと答えた。》(p.151)

本書は、アメリカの新聞が部数を落とし、記者のリストラが始まっている現状を踏まえた上で、アメリカのジャーナリズムの歴史を概観したものです。ただ、ジャーナリズムの将来どうなるのかについての展望はあまり見えてきません。

あと、「鉄心のニュース」という言葉が出てくるのですが、なんだろう? と考えてみると、どうやら core という単語の訳語のようです。だったら、「コアのニュース」で良かったんじゃないかとも思いますね。

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2012.01.23

▽黒人はなぜ足が速いのか

若原正己『黒人はなぜ足が速いのか―「走る遺伝子」の謎』(新潮選書)

黒人はなぜ足が速いのか、という誰もが抱く素朴な疑問について、遺伝子という観点から明快に解説してくれます。

ただし、このテーマは、人種差別の歴史の長いアメリカではタブーに近い扱いになっていることが「はじめに」で述べられていますが……。

本書によると、短距離はジャマイカ、バハマ、トリニダート・ドバコなどのカリブ海諸国、長距離はエチオピア、ケニア、モロッコなどの北・東アフリカが得意とするところのようです。そして、その傾向は、さまざまな遺伝子によって決定されるそうです。そして、それは人類が移住によって、枝分かれしていく歴史にも符合するとのこと。

遺伝子に関しては、ちょっと専門的な記述が多いのですが、それほど難しくなく読み進めることができます。

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2012.01.22

▽日本の縮図に住んでみる

『ルポ 日本の縮図に住んでみる』(日本経済新聞出版社)

日本経済新聞のシニア記者が、日本の縮図といえる地域に一ヶ月ほど暮らしてみて、その体験をルポしたもの。

与那国島、横浜のドヤ街、若者の自立施設、北海道の田舎、愛知県豊田市のブラジル人の多く住む団地、そして、ハンセン病の療養所。

一時間ほどのインタビューで記事を書いてしまうことの多い新聞記者の仕事への反省から、この企画はたてられたようで、なるほど、その地域で暮らしてみないとわからないこと、住んでいるいるからこそ聞き出せる住人の本音などが、描かれていて、とても興味深く読みました。

ただ……。

こういうルポの仕事って、昔はルポライターの仕事でしたよね……。読者を取り込むために、こういうアプローチの仕事を新聞記者ですら取り組まなければならない時代になったということなんでしょう。

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2012.01.21

▽年金倒産――企業を脅かす「もう一つの年金問題」

宮原英臣『年金倒産 ― 企業を脅かす「もう一つの年金問題」』(プレジデント社)

《役人然とした基金幹部に鼻先であしらわれたり、いかにも業界の重鎮といった風貌の、それだけが存在意義であるかのような高齢の理事長から恫喝まがいの批判を受けたり、あげくの果てには当社の業務妨害にもなりかねない怪文書を発せられたりと、さまざまな苦境に立たされてきた。》(p.219)

本書の著者は、もともとは経営コンサルタントであったが、顧客企業からの相談によって、企業年金にも深く関わるようになった。

企業年金は、国の定めた「厚生年金」と企業独自の「厚生年金基金」にわかれている。厚生年金制度の発足直後は、多くの企業が、「厚生年金」部分の資金運用も代行することで、より多くの運用収入を得ることができた。

しかし、バブル崩壊後には、逆に、この代行部分が損失を抱える「代行割れ」の状態に陥った年金が増えている。

2002年の法改正後は、大企業が単独またはグループで運営していた年金のほとんどは、「代行返上」や「解散」を行った。しかし、中小企業が加盟する「総合型年金基金」では、代行割れのままで「代行返上」や「解散」を行うと、巨額の負担が発生する。

神戸のタクシー会社、三宮自動車交通はこうした負担に耐えきれなかったのが原因で2007年に倒産した。この未払い金は、同じ年金基金に加盟していたタクシー会社が負担しなければならなず、タクシー会社の廃業が相次いだ。

一方、「全日本洋菓子厚生年金基金」は、コスト意識が高く経営体力のあるマクドナルドが加盟していたことや、幸運にも株価が上昇し「代行割れ」を回避できたこともあって、損失を出さずに解散することができた。

年金基金に巣くう天下り官僚の実情についても触れており、企業年金の抱える本当の問題点をわかりやすくかみ砕いて教えてくれる良書である。

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2012.01.20

▽音楽嗜好症(ミュージコフィリア)とは?

オリヴァー・サックス『音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々』(大田直子訳、早川書房)

脳神経科医であり、小説家でもある(代表作は『レナードの朝』)のオリバー・サックスが、音楽に取り憑かれたミュージコフィリア(音楽嗜好症)な人々について綴ったもので、502ページにわたる大著。

かつて最相葉月の『絶対音感』という本が話題になった時に、

音楽と人との関係についての興味深い世界がかいま見えたのがですが、本書は、さらに、その世界を広げてくれます。

まあ、しかし、音楽のことはあまりよく知らない私にとっては、ちょっとお腹いっぱいな感じですね(笑)。

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▽タイタニックは沈められた?

ロビン・ガーディナー 、ダン・V・ヴァット『タイタニックは沈められた』(内野儀訳、集英社)

イタリア沖で沈没した豪華船では、真っ先にトンズラした船長に避難が集まっていますが……。なんでも、ちょうど百年前の1912年に沈没したタイタニック号の犠牲者の親族も、この船に乗っていたそうです。この方は無事救出されたそうですが。

さて、本書『タイタニックは沈められた』では、タイタニック号は意図的に沈没させられた、という説を検証しています。その根拠は、ネタばれになりますが、あえて書いてしまうと……

保険金詐欺だったのではないか? という説です。

タイタニック号には同型の姉妹船としてオリンピック号というのがあったのですが、この船は何度も事故を起こして強度が下がっていたそうです。そこで、オリンピック号をタイタニック号に偽装した上で、タイタニック号として沈没させてれば保険金を詐取できる、と当時の船の持ち主が考えたのではないか、というのが著者の見立てです。

本書は、もちろん、この陰謀論めいた「疑惑」についても検証していますが、沈没事故当時の状況も克明に記されていて、ノンフィクションとしても十分鑑賞に堪えると思います。

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2012.01.19

▽『日中映画論』

四方田犬彦x倪震『日中映画論』(作品社)

日中の映画評論家二人(四方田犬彦と倪震)が、日中の映画監督についてクロストークする。いろいろな考察が交錯していてわかりにくいですが、まあ面白いっちゃあ面白い。

[目次]
わたしはいかにして映画マニアとなり、次に映画研究者となったか。(四方田)
映画研究がわが人生の転機となった(倪)

●大島渚論
 性と政治の融合と分離(倪)
 日の丸とペニス(四方田)

●謝飛論 
 生めよ増やせよ(四方田)
 ソフトな東方的情緒の展示(倪)

●北野武論
 天使と悪魔の子(倪)
 道化とその後(四方田)

●張芸謀論
 父殺しに至るまで(四方田)
 仮面の裏側(倪)

●塚本晋也論
 異生物とサイコホラー(倪)
 恐怖という情熱(四方田)

●賈樟柯論
 雑音とアイロニー(四方田)
 田舎町への永遠の思い(倪)

映画批評をめぐる対談(四方田×倪)
倪震から四方田への三つの質問
四方田から倪震への三つの質問
人名・作品名索引
あとがき(四方田)

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2012.01.18

▽『黒船前夜』――ロシア・アイヌ・日本の三国志

渡辺京二『黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志』(洋泉社)

幕末期の北海道(蝦夷地)を、南進するロシアと北上する江戸幕府、そして、先住民族としてのアイヌによる三国志ととらえたユニークな歴史書で、なかなか面白い。

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2012.01.17

▽『日本橋異聞』

荒俣宏『日本橋異聞』(光文社知恵の森文庫)

日本橋界隈にまつわるトリビアを荒俣宏がまとめたのが本書。へぇ~、へぇ~、と楽しく読むことができます。

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2012.01.16

▽『カプセル』――新潟少女監禁事件

松田美智子『カプセル―新潟少女監禁事件 密室の3364日』(主婦と生活社)

《本部長は九年二か月も監禁されていた女性が発見されるという重大事件発生にも関わらず、関東管区警察局長との接待マージャンを優先させ、その日はホテルに宿泊したのだ。》(p.49)

2000年1月に新潟で発覚した少女監禁事件。事件そのものもショッキングだったのですが、その日の夜に、新潟県警の本部長が、お偉いさんと接待マージャンをしていた、という、まるで『躍る大捜査線』のコメディ・シーンのような展開も記憶に残っています。

そういえば、まだ日本人の拉致を認めていなかった北朝鮮が、「失踪した少女は、日本にいたじゃないか」と嘲笑していたことも思い出します。

本書は、新潟少女監禁事件の事件発生から発覚、第一審の判決までをまとめたものです(2003年最高裁で懲役14年が確定)。読み返してみると、事件が起きたのは、新潟県柏崎市で、2007年に火災事故を起こした柏崎刈羽原発のあったところ。

本書の焦点は、事件を起こした犯人の身勝手な心理にせまるところにあるのでしょうが、日本の地方都市が抱える問題が、事件の発生を後押した部分もあるのかな、と思ったりもしました。

[参考]▽柏崎刈羽「震度7」の警告
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/04/7-ac7d.html

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2012.01.13

▽『「朝日」ともあろうものが。』をあらためて読んでみた

だ~いぶ前に読んだ『「朝日」ともあろうものが。』(烏賀陽弘道)をあらためて読みふけってしまいました(本書は2005年10月刊行)。

著者は、朝日新聞の記者だったのですが、2003年に退職。その時に書いた記事( http://ugaya.com/column/taisha_index.html )はネットでも大きな話題になりました。

その後、フリーになった著者は、オリコンによるSLAPP訴訟に巻き込まれたりします。

[参考]▽『俺たち訴えられました!---SLAPP裁判との闘い』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/03/---slapp-a9c7.html

また、本書では、著者がリクルート事件の取材に関わった話も出てくるのですが、その時の著者は、『ドキュメント リクルート報道』でも伺い知ることができます。

[参考]▽リクルート報道の再検証
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/11/post-e240.html

さて、本書が書かれた2003年~2005年頃というと、マスコミにも不況の波が押し寄せてきた時期。それでも、新聞社の無駄遣いの代名詞とも言えるタクシー・ハイヤー代については、

《ぼくが退社する前後に聞いた話では、朝日新聞社全体のハイヤー・タクシー代一日千二百万円だそうである。一ヵ月ではない。一日、である。》(p.189)

これ以降もずっと新聞社の売上は下がっていて、朝日新聞社ですら希望退職が行われるようになっているので、こうした無駄遣いは、ずっと切り詰められているのだろうと思います。
[参考]▽テレビ局衰退の記録――『だからテレビに嫌われる』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/11/post-9f9e.html

さて、本書では、メディアの「アジェンダ・セッティング」( agenda setting )について述べた部分があります。

《「今、何が問題なのか」「何を議論すべきなのか」「何を知るべきなのか」というテーマ(アジェンダ)を見つけて社会に提示すること。ハルバースタムは、それこそがジャーナリストの重要な使命のひとつだと言った。》(p.116)

そう。その通り。

ハルバースタムの言う通りだとは思います。

しかし、このアジェンダ・セッティングの機能ですら、はてなブックマーク、twitterのリツィート、facebookのいいね! などのいわゆるソーシャル・ネットワーク・サービスにとってかわられつつあるのではないか、という気もします。

そこを従来のジャーナリストはどう乗り越えるか? というアジェンダがセッティングされるべきなのかもしれませんね(笑)。

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2012.01.11

▽誉田哲也『感染遊戯』――元官僚連続殺人事件

誉田哲也『感染遊戯』(光文社)

警察を舞台にしたミステリー小説『ストロベリーナイト』などの姫川玲子シリーズのスピンオフ的な作品。雑誌に連載された4つの短編による連作もので、テーマは元官僚を対象にした連続殺人事件。

《「……えれぇ時代がくるぜ、姫川。国民の、お上に対する逆襲だ。下手したら、魔女狩りみてぇになっちまうかもしれねえな……官僚だってだけで、下手すりゃ省庁に勤めてるって分かっただけで、即刻吊るされる……そういう時代が、もうすぐそこまで、きてるのかもしれねえぞ」 》(p.48)

第一話の「感染遊戯/インフェクションゲーム」を読み終えたところで、そう言えば厚労省の元官僚が連続して殺害される事件があったなあ、と思い調べてみました。

現実に事件が起きたのが2008年11月。第一話が掲載された『小説宝石』は、2008年7月号……。第二~四話は、2010年に発表されて、単行本にまとめられて発売されたのが東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発事故のさなかの2011年3月25日……。

本当に「えれぇ時代がくる」のかもしれません……。

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2012.01.10

▽『私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。』

SIGHT編『私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。』(ロッキングオン)

本書は、ロッキング・オンの増刊号である『SIGHT』誌に掲載された原発問題に関するインタビューや対談の拡大採録版である。

登場する14人は、経産省出身の江田憲司と古賀茂明、原子力学者の小出裕章、原発メーカー出身の飯田哲也と田中三彦、原発訴訟の原告側弁護人の和田光弘などなど、3・11以前から、いわゆる「原子力ムラ」と接してきた人達である。そして、彼らの語るムラの実態は、きわめて興味深いものである。

[目次]
坂本龍一
原発問題を抱える今の日本を、世界はどう見ているのか

江田憲司
電力をめぐる「政官業のコングロマリット」を壊すには

保坂展人
スリーマイルからフクシマまで、原発推進行政と戦い続けた30年

古賀茂明
電力会社と政治家・官僚は、どのように手を組んできたのか

小出裕章
この国のアカデミズムと原発はどう結びついているのか

飯田哲也
原発推進政策の中、自然エネルギーはいかに排斥されてきたのか

田中三彦
企業、行政、メディアと戦ってきた「元原子炉圧力容器設計者」の証言

和田光弘
原発訴訟は必ず電力会社が勝つ、その仕組み

上杉隆
3・11以降の「今ここにある、そして加速度的に悪化していく危機」について

丸山重威
日本のメディアによる原発報道の歩みとは

開沼博
明治以降の近代化から追う「フクシマと原発、行政と原発」

藤原帰一
3・11以降、「日本の原発絵図」と「世界の原発絵図」はどう変わりつつあるのか

内田樹x高橋源一郎
ウチダ&タカハシ、福島第一原発事故後の日本が歩む道を考える

内田樹x高橋源一郎
ウチダ&タカハシ、「もう元には戻らない日本」での生き方を考える

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2012.01.09

▽『ザ・ラストバンカー』――時代に翻弄された銀行マン

西川善文『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』(講談社)

《今まで私を含めて誰も住友銀行関係者は語ってこなかったことがある。この機会にあえて申し上げよう。イトマン事件は磯田さんが長女の園子さんをことのほか可愛がったために泥沼化したのだと私は思う。》(p.120)

本書は、住友銀行(現・三井住友銀行)の頭取、日本郵政の初代社長をつとめた西川善文による回顧録。

著者は、普通の銀行マンとは異なって、営業畑の経験はほとんどなく、安宅産業、イトマン、住専と、もっぱら不良債権の処理に携わってきた。30年以上も不良債権処理にかかわったことから、「不良債権と寝た男」とさえ呼ばれた。

特にイトマン事件については、当時の住友銀行頭取の磯田一郎の責任を厳しく批判している。イトマンが絡んだ不明朗な絵画取引には、磯田の長女が勤務する会社が一枚噛んでおり、このことが磯田の判断を誤らせたのではないか、と指摘している。

また、イトマン事件を引き起こす遠因となった平和相互銀行の買収も、磯田が意図した効果はあまり得られなかったという。

本書には、暴露本的な内容はあまりないが、それでも住友銀行を内側から率直に描いており、住友銀行を通史的に把握する上では役に立つ。

[参考]▽『イトマン・住銀事件』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/1994/11/post-84c4.html

[目次]
第一章 バンカー西川の誕生
第二章 宿命の安宅産業
第三章 磯田一郎の時代
第四章 不良債権と寝た男
第五章 トップダウンとスピード感
第六章 日本郵政社長の苦闘
第七章 裏切りの郵政民営化

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2012.01.07

▽『捏造と盗作』――米ジャーナリズムに何を学ぶか

高浜賛『捏造と盗作―米ジャーナリズムに何を学ぶか』(潮ライブラリー)

アメリカでは、ジャーナリストに求められる規律は、とても厳しいものがある。しかし、それでも多くのメディアで、捏造や盗作が明るみになる。

それは個人的な資質によるものか、あるいは、組織の問題か、それとも産業としてのジャーナリズムが衰退に向かいつつあることの現れなのか?

この問いには容易に答えは出すことはできませんが、アメリカのジャーナリズムが、この問題にどのように取り組んできたのかについては、本書はくわかりやすくまとめています。

また本書に登場する捏造や盗作は下記エントリーにまとめてありますので、ご覧下さい。

[参考]
米ジャーナリズムにおける盗作・捏造事件簿――『捏造と盗作』より
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/blog/2012/01/post-8e91.html

[目次]
第1章 『ニューヨーク・タイムズ』とブレア捏造事件
 捏造事件の経緯
 握りつぶされていた捏造疑惑
 黒人逆差別待遇は受けなかったのかとの疑惑
 ジェイソン・ブレアの素性と生い立ち
 退社後に出した回想録
 新設された「パブリック・エディター」

第2章 もう一つの盗作疑惑事件
 助手のメモを丸写ししたピュリッツァー賞受賞記者
 リック・ブラッグは南部の英雄的存在
 フリーランサーの取材協力をどう扱うべきか

第3章 「ジミーの世界」虚報事件
 『ワシントン・ポスト』を失墜させた美貌の黒人記者
 事件はどうして起こったのか
 その後、彼女はどうしたのか
 黒人ジャーナリストであるということ
 相次ぐ捏造事件で『ワシントン・ポスト』も新たなガイドライン設定

第4章 『USAトゥディ』盗作容疑事件
 特ダネを送りつづけた海外特派員
 『USAトゥディ』、ついに屈辱の謝罪特集
 後を絶たない捏造・盗作記者
 捏造・盗作記者は今も昔も

第5章 アメリカ・メディアNOW
 インターネット・ゴシップ屋「ドゥルージ・リポート」
 「ケリー候補不倫疑惑報道」の顛末
 対立する保守メディアとリベラル・メディア
 消滅したメディア監視雑誌
 『ロサンゼルス・タイムズ』の知事選報道の是非
 映画になった『ニュー・リパブリック』の捏造記者

第6章 戦時下の米メディア
 『ニューヨーク・タイムズ』の大量破壊兵器報道
 「戦時下のメディア」シンポジウム

資料編
 『ワシントン・ポスト』調査報告書抄訳
 参考・引用文献

あとがき―米ジャーナリズムから何を学ぶか

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▽『原発社会からの離脱』

宮台真司x飯田哲也『原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて』(講談社現代新書)

社会学者の宮台真司と自然エネルギー政策研究の第一人者である飯田哲也の対談本。

もともと飯田は原子核工学を専攻し、神戸製鋼で放射性廃棄物処理の研究に携わった。福島第一原発内で使われていた中性子遮蔽材は飯田の開発したものだという。

そして、飯田は神戸製鋼から電力中央研究所に出向するが、

《そこでじっと議論を聞いていると御用学者の名誉教授たちがまるで勉強していないことに気づきました。IAEA(国際原子力機関)のルールを日本に取り入れるという仕事だったのですが、みんな好き勝手なことを言ってるだけで、そもそも誰も原典を読んでいない。》(p.69)

こうした体験を通じて、日本の原子力ムラのありように疑問を抱いた飯田は、自然エネルギーの研究に舵を切る。

両者の主張に賛同しない方でも、日本の電力行政の歴史と、その社会的な背景を理解するには役に立つだろう。

[目次]
1章──それでも日本人は原発を選んだ
2章──変わらない社会、変わる現実
3章──80年代のニッポン「原子力ムラ」探訪
4章──欧州の自然エネルギー事情
5章──2000年と2004年と政権交代後に何が起こったか
6章──自然エネルギーと「共同体自治」
7章──すでにはじまっている「実践」

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2012.01.06

▽シネマセラピー上映中

高橋祥友『「死にたい」気持ちをほぐしてくれるシネマセラピー上映中―精神科医がおススメ 自殺予防のための10本の映画』(晶文社)

なんかすごいタイトルの本ですが、精神科医である著者が、自殺に至る要因を分析した上で、自殺を描いた十本の映画を紹介するという趣向。

「普通の人々」――家族内に起こった問題がさざ波のようにほかの家族にも影響していく
「素晴らしき哉、人生」――どうでもよいと思えるような人生でも、視点を変えればさまざまな達成が
「セント・オブ・ウーマン:夢の香り」――生きる意味をもう一度見直す
「道」――私は何のために生きているのだろうか
「リービング・ラスベガス」――すべてを失ったかに思えた人生で、唯一救いの手を差し延べてくれたのは
「失われた週末」――酒だけが今の苦しみを和らげてくれる
「17歳のカルテ」――私が生きている意味は何なのか:思春期の葛藤
「桜桃の味」――私の最期を見届けてほしい
「いまを生きる」――家族の期待に圧倒される
「シルヴィア」――あり余る才能に潰される

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2012.01.05

▽『逝きし世の面影』――外国人が見た幕末のニッポン

渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー)

《古き日本を実見した欧米人の数ある驚きのなかで、最大のそれは、日本人民衆が生活にすっかり満足しているという事実の発見だった。》(p.262)

日本近代の研究を専門とする歴史家である渡辺京二が、幕末の日本を訪れた外国人の目に、日本文化や日本人がどのように写ったのか、に関する記録をまとめたもの。

それぞれの記録については、探せば手に入れることはできたであろうが、膨大な記録を、このようなかたちで一冊にまとめた点において労作であることは間違いない。

[目次]
第一章 ある文明の幻影
第二章 陽気な人びと
第三章 簡素とゆたかさ
第四章 親和と礼節
第五章 雑多と充溢
第六章 労働と身体
第七章 自由と身分
第八章 裸体と性
第九章 女の位相
第十章 子どもの楽園
第十一章 風景とコスモス
第十二章 生類とコスモス
第十三章 信仰と祭
第十四章 心の垣根
あとがき

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▽『私は薬に殺される』

福田実『私は薬に殺される』(幻冬舎)

バリバリのビジネスマンとして働いていた著者は、1996年末、高脂血症と診断され、医者の薦めで「ベザトール」と「メバロチン」という二つの高脂血症治療薬を服用するようになった。

しかし、これが「横紋筋融解症」という副作用をもたらし、体全体の筋力が落ちるという症状が現れるようになった。

著者は病院で検査を繰り返すが、どこにいっても「異常なし」の診断で、むしろ「心因性ではないか」と疑われる。

いくつかの病院を転々とした後、やはり「横紋筋融解症である」と診断した医者の協力を得て、病院や製薬会社や国を薬害として訴える……というところで、2003年に発売された本書は終わっている。

専門知識の無いものが読むと、著者が正しいのか、医者が正しいのかが判然としない。現在も裁判は進行中であるが、著者のサイト( http://www.geocities.jp/fukuda_minoru_1963/index.html )によると病院とは和解、国との裁判は、一審、控訴審とも勝訴、製薬会社との訴訟は全面敗訴という。

ただ、著者のいうように、高脂血症のような生活習慣病は、薬にたよらず、生活の改善や運動でなおした方がよいのだろう。

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2012.01.04

▽外務省に告ぐ

佐藤優『外務省に告ぐ』(新潮社)

元外交官でいまは文筆家として活躍する佐藤優が、『新潮45』に連載したコラムをまとめたもの。

収録されたコラムの初出は、同誌の2008年11月号から2011年5月号までで、これを時系列ではなくテーマ別に並べているために、起きた事件が時間的に前後して取り上げられたりしていて、ちょっとわかりにくい。

というか、まあ、この間に起きた事件というと、政権交代、小沢一郎の政治とカネの問題、特捜検事のフロッピー改竄問題、大震災と原発事故などなど、ホントに、いろんな事件が起きたなあとしみじみ思います(笑)。

▽元外交官による人間観察の集大成
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/01/post-62e4.html
▽佐藤優のお薦め『大統領のカウントダウン』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/08/post-2198.html
▽『小沢革命政権で日本を救え』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/09/post-dad9.html

[目次]
まえがき “surprisingly”

第1章 外交敗戦――北方領土はなぜ失われたのか?
 ロシアにもなめられ、北方領土を失う日
 モスクワ空港爆弾テロが及ぼす北方領土交渉への影響
 ロシアが私を攻めてきた!
 池田大作・ゴルバチョフ会談の謎解き
 ウィキリークスが日本に仕掛けたインテリジェンス戦争

第2章 民主党はなぜ官僚に敗れたのか?
 政権交代で生き残りに蠢く外務官僚たち
 小鳩政権崩壊の真実
 なぜ日本はかくも弱くなったのか

第3章 「外務省」という病
 童貞外交官の罪と罰
 外交特権を濫用した蓄財の天才たち
 自殺者、幽霊、伏魔殿
 セクハラ、パワハラ
 空飛ぶ密輸便
 外務官僚の語学力

第4章 「国家の罠」その後
 ムネオ詣でを始めた外務官僚たち
 小沢一郎秘書逮捕と政権交代の恐怖
 あえて特捜検察を擁護する
 特別対談 元特捜部長VS.佐藤優
 特別対談 鈴木宗男VS.佐藤優

第5章 「機密費」をめぐる最終戦争
 機密費
 特別対談 元警視庁捜査2課刑事・萩生田勝VS.佐藤優
 宗男VS.平野官房長官、機密費をめぐる最終戦争

第6章 沖縄への想い
 実は決断の専門家、鳩山研究論文で読み解く総理の実像
 密約問題の全舞台裏
 亡き母にとっての沖縄と日本

あとがき 顕在化した中国の脅威に立ち向かえる「外交力」を再生せよ

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2012.01.03

▽『マンハッタンのKUROSAWA』

平野共余子『マンハッタンのKUROSAWA―英語の字幕版はありますか?』(清流出版)

本書の著者は、1986年から2004年まで、ニューヨークのマンハッタンにある「ジャパン・ソサエティ」という日本文化を紹介するための団体で、日本映画の上映会を行ってきました。上映された英語字幕付きの日本映画は827本にのぼる。本書は、その苦労話を綴ったものです。

タイトルに「KUROSAWA」とあるのですが、黒澤明だけでなく数多くの映画について書かれているので、このタイトルはミスリードというか、内容に誤解を与えているのかもしれません。

あと、それぞれの映画に対する観客の反応について、もっと紹介しかったですね。

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2012.01.02

▽『日本の医療』――バラ色の高齢化社会は崩壊するか……

保阪正康『日本の医療―バラ色の高齢化社会は崩壊するか…』(講談社文庫)

《日本の経済成長が確保されている限りにおいて、福祉、医療は拡充されている。だが、ひとたび恐慌が襲ってきたり、日本の経済成長が停滞期にはいったら、この拡充策は頓挫しかねない。福祉や医療の予算は削減され、受益者負担を導入せざるをえなくなるだろう。……そのとき、国民はいちどにぎった権益を手ばなすことに納得するだろうか。受益者負担など容易に受けいれることはないのではないか。》(p.7)

前から気になっていた本書『日本の医療―バラ色の高齢化社会は崩壊するか…』を読み始めたところ、この文章が目に飛び込んできました。

なんと、これが書かれたのが昭和六十年代の前半のこと。いま問題となっている福祉や医療の財源問題とは、あらかじめ予言されていた問題であったことがわかります。

これと同じような衝撃をうけた本と言えば、堺屋太一の『団塊の世代』くらいのものでしょうか。

[参考]
▽『団塊の世代』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/1994/07/post-26c5.html
▽『財政危機と社会保障』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/10/post-048d.html
▽『逸脱する医療ビジネス』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/01/post-9b58.html
▽『ネットで暴走する医師たち』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/05/post-b843.html

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