2012.01.24

▽新聞が消える?

アレックス S. ジョーンズ『新聞が消える ジャーナリズムは生き残れるか』(古賀林幸訳、朝日新聞出版)

以前、アメリカのジャーナリズムにおける盗作と捏造問題を扱った本を紹介したことがあります。

▽『捏造と盗作』――米ジャーナリズムに何を学ぶか
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2012/01/post-9bc5.html

ここでは、2003年にニューヨーク・タイムズ紙で発覚したジェイソン・ブレア記者の捏造についても考察されています。

ジェイソン・ブレア記者が捏造した記事の一つに、イラクで捕虜になった後に救出されたジェシカ・リンチ上等兵の家族に関する記事がありました。

ブレア記者は、家族のもとに取材にも行かず、その家は窪地にあったのに丘の上にあったと書き、ありもしないタバコ畑や牛の放牧地が見渡せた、と捏造した。

しかし、本書『新聞が消える』の著者アレックス・ジョーンズは、もっと別のことに驚きを示しています。

《それと同じくらいひどかった、いや、わたしがそれ以上にひどいと思ったのは、一家がその記事を見たとき、明らかな捏造について「冗談だと思った」と発言したことだった。……家族は、最近のジャーナリズムは――ニューヨーク・タイムズも含めて――そんなものだと思っていたと答えた。》(p.151)

本書は、アメリカの新聞が部数を落とし、記者のリストラが始まっている現状を踏まえた上で、アメリカのジャーナリズムの歴史を概観したものです。ただ、ジャーナリズムの将来どうなるのかについての展望はあまり見えてきません。

あと、「鉄心のニュース」という言葉が出てくるのですが、なんだろう? と考えてみると、どうやら core という単語の訳語のようです。だったら、「コアのニュース」で良かったんじゃないかとも思いますね。


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