2012.01.28

▽なんでコンテンツにカネを払うのさ?

岡田斗司夫x福井健策『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』(阪急コミュニケーションズ)

《福井 著作権は確かに厄介な存在です。しかし、100年以上の期間をかけて構築されてきた、血と汗の結晶でもあります。だから、生半可なことで突き崩せるようなヤワな相手じゃないんですよ。体系としてなかなかうまく組み上がった法律であり、それがデジタル化の中で機能不全を起こしかけているから厄介なんです。これほどきちんと組み上がったものでなければ、5年やそこらでぽーんとモデルチェンジできてしまえたんでしょうけどね。》(p.64)

《岡田 エンターテイナーにせよ他の職業にせよ、その職能さえあれば食べていけるという時代があって、その後一握りのトップしか食べていけなくなる。そういう変化をへるんじゃないでしょうか。
 ……日本中の全クリエイターを合わせて、創作収益だけで食えるのは1000人くらいじゃないでしょうか?》(pp.103-104)

岡田斗司夫と、著作権に問題に詳しい弁護士の福井健策による対談。書籍の自炊問題から、今後のクリエイターのビジネス・モデルまで、思考実験的に語り合う。

本書では、特に結論が得られるわけではないのですが、何について考えれば良いかのポイントは得られると思います。

[目次
Chapter 01:電子書籍の自炊から著作権を考える
電子書籍の自炊はいけないこと?
家族が1万人いたら、自由に「私的複製」してもいい?
バイトを雇って「自炊」するのはOK?
スキャンしたあとの書籍は、処分しないといけないの?
私的複製の範囲をコントロールするDRMの問題
自由にコピーしてよくなったら、売り上げは減る?

Chapter 02:著作権法は敵か味方か?
意外に新しい著作権という考え方
プラトンとアリストテレスとダイエット
作品で食っていけるクリエイターなどいなかった
法律で遊ぶのは大人の務め
クリエイターの稼ぎと流通の促進のバランス

Chapter 03:コンテンツホルダーとプラットフォームの戦い
著作権がないと社会はつまらなくなる?
日本はコンテンツ輸入国だ
コンテンツホルダーは強者なのか?
著作権保護は終わりのない撤退戦?
力を持つのはプラットフォームか?
カネはいらないとクリエイターが言い出したらどうなる
広告収入モデルはクリエイターを救うか

Chapter 04:クリエイターという職業
野球でメシは食えない
プロとして食えるのは日本で1000人
創作で食えなくてもいい!
僕たちが欲しいのはコンテンツではない
人はライブの体験にお金を払う
「タニマチ」がクリエイターを救う
つまらないけど豊か、貧乏だけど楽しい、どちらを選ぶ?
あらゆる産業がシュリンクする
人はデジタルというパンドラの箱を開けてしまった
コミケに地域通貨を導入する
救うべきは貧乏なクリエイターではない

Chapter 05:ネットの中に国家を作り上げる
全メディアアーカイブ構想とは?
オプトアウトで大量のコンテンツを集める
コンテンツと一緒に石けんも売ろう
圧倒的な力を持つ米国発プラットフォーム
僕たちは二重に税金を支払っている
マネタイズを諦めれば、奴隷から解放される
総合コンテンツ企業「株式会社日本コンテンツ」
経済のありようが変わる
著作権、そしてコンテンツの未来は私たちにかかっている


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