2012.02.09

▽『封印された電車男』――「2ちゃんねる」と「まとめサイト」の微妙な関係

安藤健二『封印された電車男』(太田出版)

2004年3月から、巨大匿名掲示板2ちゃんねるの「独身男性板」、通称「毒男板」に書き込まれた、ハンドルネーム「電車男」の恋愛話は、中の人によるまとめサイトを経て、中野独人なる著者名で出版されベストセラーとなった。

テレビドラマや映画にもなったこの電車男の実態について、『封印作品の謎』シリーズで知られる安藤健二が膨大なログをもとに検証したのが本書である。

著者の検証によると、2ちゃんねるの電車男スレッドに書き込まれた3万件を超える投稿のうち、単行本に収録された書き込みはわずか6.4%に過ぎなかった。実に、93.6%は捨てられたことになる。

《投稿の9割が削られたことで、『電車男』は、ネット上でのコミュニケーションの実態をまったく反映しない人畜無害な物語になってしまった。モニター上に現れた複雑怪奇でドロドロとした人間の欲望を封印して、口当たりのいいパッケージングを施すことで大ヒット商品となったわけだ。》(p.119)

『電車男』のケースでは、「まとめ」の際に、「口当たりのいいパッケージングを施すこと」に成功しました。しかし、この「まとめ」の手法は、さまざまな方向性を恣意的に持たせることができるのだろうと思います。

[参考]「2ちゃんねる」まとめサイトのビジネス・モデル
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/news/2011/04/post-b0f7.html


|

書評2012年」カテゴリの記事