2012.02.14

▽限界集落の真実

山下祐介『限界集落の真実: 過疎の村は消えるか?』(ちくま新書)

「限界集落」とは、「六五歳以上の高齢者が集落の半数を超え、独居老人世帯が増加したために、社会的共同生活の維持が困難な状態に置かれている集落のことを指す。」(p.9)。

2007年には、参院選挙において、地域格差の問題に絡んでこの「限界集落」の問題が取り上げられ、政府は、191もの集落が過去7年間で消えた、とのデータを発表した。

しかし、本書の著者は、さまざまな集落へのフィールド・ワークにより、191の集落は、ダム移転、災害移転、集落再編などの人為的な要因によって消滅したものであることを突き止める。

《国発表の消えた集落の数値には、[高齢化→限界→消滅]の事例はまず含まれていないと考えるべきだろう。》(p.100)

つまり、人間の生活力は高齢化で衰えるようなものではなく、集落が簡単に消えることはない、ということになる。

ただし、高齢化した集落は増え続けており、かならずしも楽観できる状態ではないものの、従来の限界集落のイメージを塗り替えたところから議論はスタートすべきだろう。


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