2012.03.08

▽山寨革命とは何か?――『中国モノマネ工場』

阿甘『中国モノマネ工場――世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃』(日経BP社)

本書は、中国の携帯電話産業について書かれたものなのですが、ざっと読んだだけでは、何が書かれているのか、さっぱりわかりません(笑)。中国人独特の言い回しや比喩などに馴染みがないこともありますが、そもそも中国における携帯電話事業についての知識が乏しいことにも原因があると思います。

まずは、サブタイトルにもある「山寨革命」について解説すべきかもしれませんが、あえて「山寨革命」より前の時代について触れておきます。

本書によると、中国において携帯電話は、まず国外のメーカーによってもたらされました。それは、ノキア、サムスン、ソニー・エリクソン(当時)などで、これらは日本人にも知られているメーカーです。

これらに対抗すべく、1999年頃から中国資本のメーカーが参入しました。これらのメーカーは、半完成品を輸入して自社で組み立て、自社のブランドをつけて販売したことから、中国では「ブランド携帯」と呼ばれているそうです。

この「ブランド携帯」は、2002年、2003年には一世を風靡したのですが、品質が劣ることから2004年に入ると失速、中国メーカーは全社赤字に陥ったそうです。

その二年後に現れたのが、本書の主役である「山寨携帯」です。

さて、ようやく「山寨革命」の話題に入りますが、「山寨」は、日本語では「さんさい」と発音します(中国語ではShan Zhai)。「山寨」の元の意味は、「山の中の要塞」という意味で、さらに「農民による反統制運動」を意味する語として使われるようになり、「北京オリンピックの前後に意味が拡大され、コピー、偽物、ゲリラ、非官製、草の根などを示す言葉として使われ始めた」(p.1)そうです。

「山寨携帯」というのは、特定の携帯電話メーカーをさすのではなく、さまざまな得意分野を持つ個々の企業が有機的に結合して生産する携帯電話群の総称ということになります。

具体的には、メディアテックという台湾の半導体メーカーが作ったチップを採用し、龍旗や聞泰などのデザインハウスが設計を行っています。また、部品の調達、金型の製造、製品の組み立てにも多くの中国企業が関わっていますが、あえてブランドをつけずに販売されています。そういう風に生産された携帯電話群が、「山寨携帯」と呼ばれているわけです。

《山寨携帯のビジネスモデルの主体は一つの会社が一つか二つの工程に集中し、それらの間を市場の紐帯を使ってつなぐというものだ。》(p.54)

「山寨携帯」の生産台数は爆発的に増えている、とのこと。

というようなことを頭に入れてから読むと、本書の内容もすっきりと頭に入ってくると思います。


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