2012.03.04

▽『代行返上』

幸田真音『代行返上』(小学館)

『日本国債』などの経済小説で知られる幸田真音が、2003年に発表したのが、この『代行返上』(単行本は2004年発売)。

テーマは、そのものずばり年金の代行返上で、2002年4月の法改正以来の出来事をリアルタイムで追う、というスタイルのノンフィクションに近い小説に仕上がっている。

ただし、著者にも誤算はあったようで、あとがきにおいて次のように述べている。

《書き進めるうちに、市場はまったく予想外の展開を見せた。
 二〇〇三年四月二十八日に最低価格七千六〇三円七六銭をつけた日経平均株価が、十月二十一日には一万一二三八円六三銭をつけるまでに回復した。そして、株価の下落局面では、あれほど心配され、悪者扱いにもされた代行返上が、もはやなにごともなかったかのように、忘れられつつある。》(p.436)

しかし、著者は続けて、「だが、本当の問題はこれからが本番だ」(同)と2004年の時点で警鐘をならしていたが、いままさに年金問題が火を吹きつつある。

[参考]▽年金倒産――企業を脅かす「もう一つの年金問題」
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2012/01/post-d7ee.html


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