2012.03.01

▽さらば松下――『復讐する神話』

立石泰則『復讐する神話 松下幸之助の昭和史』(文春文庫)

2月28日に、かつての松下電器、現在のパナソニックに二つの大きなニュースがありました。

▼「山下跳び」松下電器元社長・山下俊彦さん死去
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120229-OYT1T01122.htm
《77年2月、創業者で当時相談役の松下幸之助氏に指名され、57歳で26人いた取締役のうち下から2番目の「ヒラ取締役」から社長に起用された。》

▼パナソニック、55歳津賀専務が社長昇格へ
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20120229-OYT8T00316.htm
《パナソニックは28日、大坪文雄社長(66)が代表権のある会長となり、後任に津賀一宏専務(55)を昇格させる人事を発表した。
 中村邦夫会長(72)は相談役に退く。》

松下電器(パナソニック)といえば、良くも悪くも日本企業の代表のような存在でした。

1988年に発表された本書『復讐する神話』(文庫版は1992年)の第1章「山下俊彦社長就任劇の謎」では、下から二番目の平の取締役から社長に抜擢された「山下跳び」の舞台裏が描かれています。

そして、第3章「コンピュータ撤退」では、1964年に松下幸之助によってなされたコンピュータ事業からの撤退に疑問が投げかけられています。

当時の日本電気(現NEC)の小林宏治副社長(後に社長に就任)は、「松下さんともあろう人が、この有力な未来部門に見切りをつけるとは、いかにも残念。分からない。コンピュータは今でこそソロバンが合わないが、しかし、これは将来必ず、家庭電器の分野にも不可欠なものになる。松下さんは一体、何を考えていなさるんだろうか」(p.78)と語っている。

まあ、その後のNECの盛衰を見ていると、撤退してもしなくても結果は同じだったと言えなくもないですが(笑)。

ところで、中村邦夫会長の退任は、無謀ともいえるプラズマ・テレビへの投資失敗に対する引責とみられていますが、では、いまのパナソニックには、いったい何が「有力な未来部門」として残されてるのでしょうか? 

実は、ソニーよりももっと危機的な状態に置かれているのではないか? と思います。

[参考]▽ストリンガー戦記――『さよなら! 僕らのソニー』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/11/post-defe.html


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