2012.04.12

▽ウエストミンスター・モデルとは何か?――『イギリス矛盾の力』

岐部秀光『イギリス 矛盾の力―進化し続ける政治経済システム』(日本経済新聞出版社)

日本の民主党政権が、発足直後に、イギリスの統治システムを参考にしようとしていたことはよく知られている。

日本の民主党政権は、もはや末期症状を呈しつつあるが、その失敗を無駄にしないためにも、イギリスの「ウエストミンスター・モデル」を改めて紹介しよう、というのが本書の試みである。

記述が散漫で、やや雑ぱくな印象を受ける本書だが、読まれるべきは、「政治主導を支える官僚」という項目だろう。

ウエストミンスターとは、イギリス議会のある場所の地名で、「ウエストミンスター・モデル」では、政治家と官僚の関係が明確に規定されている。

・官僚は担当大臣以外の政治家との接触が禁じられている。これは政治的な中立性を保つため。

・ただし、任期満了が近づくと野党議員はマニフェストをもとに官僚と議論することが認められる。

・官僚が選挙前に各政党のマニフェストを仔細に研究し、政権交代に伴う混乱を最小限に抑えようとする工夫がある。

・官僚には、採用や昇進における実力主義、政治的中立性、終身雇用が守られている。

・また、官僚の中立性を維持するために、競争原理が導入されている。競争と能力にもとづく昇進、転勤。地方自治体から中央省庁への抜擢、地域間の移動も多い。特定の政治家とべったりでは、政権交代でキャリアを失いかねない。

以上は、49-52ページから抜粋、引用である。また、官僚機構とは別に、民間のシンクタンクが野党のマニフェスト策定に大きく関わってきたという。


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