2012.04.20

▽復讐するは我にあり

今村昌平 (監督)『復讐するは我にあり』

前回のエントリーでは、自主制作映画としてつくられた『竜二』と、その主演・脚本の金子正次の生き様を描いたノンフィクション『竜二』を紹介しましたが、

▽竜二
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2012/04/post-8a8f.html

その中で、昔の映画制作にかかわるエピソードがあったので紹介します。

佐木隆三が実在の連続殺人犯をモデルとして描いた実録犯罪小説『復讐するは我にあり』は、1975年下期の直木賞をとりました。

話題性も高かったために、四人の映画監督から映画化の依頼があり、佐木隆三は、そのいずれにも承諾をにおわせる返事をしたとのこと。これがスキャンダルとして芸能誌に取り上げられたそうです。

四人の監督のうち一人は深作欣二で、その友人の劇作家、内田栄一が金子の知人であったことから、金子は劇団の仲間とともに、佐木隆三を捕まえて殴ってやろうと捜し回ったそうで、石垣島まで追いかけていったそうです。

『竜二』における内田栄一の証言によると、佐木が四人の監督に承諾を与えた理由として、「原作の版元である講談社が調整してくれるであろうという考えが佐木本人にあったのではないか」(p.85)とのこと。

二次利用、三次利用の権利も出版社が押さえる現代の感覚からすると、いかにも牧歌的な時代だったなと思いますね。

佐木隆三『復讐するは我にあり』(講談社)


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