2012.04.06

▽なぜメルケルは「転向」したのか

熊谷徹『なぜメルケルは「転向」したのか――ドイツ原子力四〇年戦争の真実』(日経BP社)

《メルケルが政府として原発全廃の方針を確定し、法制化するうえで技術者だけではなく、原子力技術についてのずぶの素人たちからも意見を聴いたことである。それどころか、メルケルは原子力の専門家ではない人々の意見のほうを重視した。》(p.147)

ドイツの女性首相メルケルは、原子力擁護派であり、2010年秋に打ち出した長期エネルギー戦略において、再生可能エネルギーに移行するまでの過渡期のエネルギーとして、原子力発電を容認し、原発の稼働年数の延長を認めた。

しかし、福島原発事故を踏まえて、この方針を覆し、2022年末までの原発廃止を打ち出した。

本書は、ドイツの政党政治と反原発運動の歴史を踏まえつつ、メルケルが脱原発へと「転向」した経緯を解説する。

メルケルの決断は、いまだに大飯原発の再稼働問題の対応が揺れ動いている日本の政治家と対照的だ。

[目次]
まえがき
第1章 甦るチェルノブイリの記憶
第2章 ドイツ原子力四〇年戦争
第3章 フクシマ後のリスク分析
第4章 はじめにリスクありきーー日独のリスク意識と人生観あとがき


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