2012.04.03

▽「本屋」は死なない

石橋毅史『「本屋」は死なない』(新潮社)

本屋の店員にスポットを当てた連作ルポルタージュのようなもの。

第一章に登場する原田真弓は、リブロ渋谷店で、「仕掛ける」棚作りに腕をふるっていた。しかし、ある時期から、本の売れ行きを示すPOSデータが、取次から、他の書店や出版社にまで提供されるようになり、さまざまなブームがじっくり育つこともなく消費されるようになってという。

《原田の記憶では、いわゆる“カフェ本”ブームは三年をかけてゆっくりと育てられた。だがマガジンハウスの雑誌『ku:nel』などの“暮らし系”が三カ月ほどで浸透したときは早すぎると感じた。“森ガール”にいたっては育つこともなく終わった。》(p.36)

このほかにも本書には、元さわや書店の伊藤清彦など、仕掛けて売るタイプのカリスマ書店員が登場する。「本屋」の現実を通じて、斜陽の出版界の苦悩が浮かび上がってくる。

[目次]
序章 彼女を駆り立てたものは何か?
第1章 抗う女―原田真弓がはじめた「ひぐらし文庫」
第2章 論じる男―ジュンク堂書店・福嶋聡と「電子書籍元年」
第3章 読む女―イハラ・ハートショップ、井原万見子を支えるもの
第4章 外れた男―元さわや書店・伊藤清彦の隠遁
第5章 星となる男―元書店員・伊藤清彦の「これから」
第6章 与える男―定有堂書店・奈良敏行と『贈与論』
第7章 さまよう男―“顔の見えない書店”をめぐる
第8章 問題の男―ちくさ正文館・古田一晴の高み
終章 彼女が手渡そうとしているものは何か?


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