2012.06.05

▽オウム真理教に惹かれた人々――村上春樹『雑文集』より

村上春樹『雑文集』(新潮社)

《オウム真理教に帰依した何人かの人々にインタビューしたとき、僕は彼ら全員にひとつ共通の質問をした。「あなたは思春期に小説を熱心に読みましたか?」。答えはだいたい決まっていた。ノーだ。》(p.204)

村上春樹は、地下鉄サリン事件の被害者やその遺族にインタビューした『アンダーグラウンド』と、オウム真理教の元信者たちにインタビューした『約束された場所で』の二つを発表している。

こうしたインタビューを通じて、オウム真理教の信者の多くは、小説というフィクションに対する免疫がなかったことに気がつく。フィクション馴れしていない彼らは、麻原彰晃の提示する虚構を、事実といっしょくたにして受け入れてしまったのではないか――。

と、村上春樹は分析している。

[目次]
序文・解説など
あいさつ・メッセージなど
音楽について
『アンダーグラウンド』をめぐって
翻訳すること、翻訳されること
人物について
目にしたこと、心に思ったこと
質問とその回答
短いフィクション―『夜のくもざる』アウトテイク
小説を書くということ


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