2012.06.23

▽小池和男『高品質日本の起源』――発言する職場はこうして生まれた

小池和男『高品質日本の起源―発言する職場はこうして生まれた』(日本経済新聞出版社)

《ふつう一国の国際競争力はすぐれたリーダーやエリート、また革新的な研究開発による、と考えられている。もちろんそれに誤りははない。だが、それに勝るともおとらぬ他の枢要な要素が、職場の中堅層の働きではないだろうか。どれほどすぐれた開発・設計でもそれを故障のすくない、高い品質の製品に仕上げ、また周到なサービスとして提供するのは、職場の中堅層である。》(p.i)

著者のこの意見自体に異論があるわけではない。しかし、本書の論証は戦前の日本の企業や労働組合の実態に費やされている。

最近の日本の家電メーカーの失速ぶりを見るにつけ、やはり中堅層よりも、「すぐれたリーダーやエリート、また革新的な研究開発」が、重要ではないか、と思わざるをえない。

[目次]
はしがき
 序 章 職場からの発言は競争力の根幹

第I部 品質への職場の発言
 第1章 なぜ品質に注目するか
 第2章 綿紡績業研究にみる興亡の歴史
 第3章 ふたつの統計観察
 第4章 職場の問題と変化
 第5章 鐘紡は例外か――内部文章から読み解く

第II部 定期昇給制の出現――生産労働者に
 第6章 知られざる定期昇給の重要性
 第7章 戦前日本の大企業にみる定期昇給

第III部 知られざる貢献――戦前昭和期の労働組合
 第8章 過小評価されつづけてきた戦前の労働組合
 第9章 つよい組合とはなにか――団体交渉と解雇
 第10章 生産の工夫の軌跡を追う
 第11章 目配りのきいた共済活動
 第12章 争議のメカニズム解剖
 第13章 戦争と労働組合
 終 章 国際競争力の源泉


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