2012.07.15

▽『ブラック・ジャック創作秘話』――手塚治虫の仕事場から

『ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~』(漫画:吉本浩二、原作:宮崎克、秋田書店)

漫画の神様といわれた手塚治虫でさえ、「終わったな」と言われた時期があったという。そのスランプを打ち破るきっかけとなったのが、1973年から連載された『ブラック・ジャック』である。

本書は、その『ブラック・ジャック』の創作にまつわるエピソードを紹介するとともに、改めて手塚治虫の人となり描いた「漫画」である。

手塚治虫というと、トキワ荘というアパートに若手の漫画家をアシスタントとして集め、後には、藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫などを輩出したことで知られている。

そして、本書で描かれている第二次黄金期にも、ブラック・ジャックのページ掲載された求人広告をみて、多くの漫画家の玉子が集まってきた。

彼らの多くも後に漫画家として大成した。たとえば、『コブラ』の寺沢武一、『テニスボーイ』小谷憲一、『Theかぼちゃワイン』の三浦みつる、などのほか、石坂啓、高見まこ、わたべ淳なども手塚のアシスタントとして働いていた。

自分の周りに集まってきた人材を食い潰すことなく、漫画家として育てたという点は、手塚の功績の一つと言えるかもしれない。

このほか、海外で漫画を書いたエピソードや地獄のアニメ進行、ギリギリまで漫画を面白くすることを考えていたことや新人漫画家ですらライバル視していたことなど、よく知られた話も出てくる。漫画として誇張されている点は多々あろうが、それでも読み物として楽しく読める。

▽神様・手塚治虫の伴走者たち
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/12/post-7cdb.html
▽アニメ作家としての手塚治虫
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2010/05/post-fbfb.html


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