2012.07.22

▽ぼくはお金を使わずに生きることにした

マーク・ボイル『ぼくはお金を使わずに生きることにした』(紀伊國屋書店)

ぼくはお金を使わずに生きることにした――。

本書は、イギリス人のマーク・ボイルという男性が、一年間、お金を使わずに生活することにチャレンジした記録である――。

と、聞けば、ロビンソン・クルーソーのような野生的な生活をイメージするかもしれないが、あにはからんや――。

生活に必要なものは、インターネットのサイトなどを通じて集めているため、思ったよりも文明的な生活をしています。自給自足の部分もありますが、文明社会に寄生している部分もあって、この点が本書の著者に対する賛否がわかれるポイントになっています。

まず、住むところは、不要になったトレーラー・ハウスを譲り受けます。そして、農場のボランティアとして働く代わりに、そこで生活させてもらう許可をえます。電話は、プリペイド式の携帯電話や農場の電話を使用(いずれも着信のみ)。パソコンも、譲り受けた部品で自作し(OSはLinux)、農場の無線LANを使わせてもらい、電気は、ソーラーパネル式の充電器を使ったとのこと。

食事は、もっぱら農場で栽培した野菜を食べています。また、生活に必要なものは、無料でもらったり、交換したりで、この際には、インターネットの交換サイトが活躍しています。

この実験は、2008年に行われたものですが(日本語版の出版は2011年11月)、福島原発事故後の言論状況をかさねあわせてみると、なかなか興味深い手記となっています。


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