2012.07.13

▽『偽薬のミステリー』――プラシーボの歴史をひもとく

パトリック・ルモワンヌ『偽薬のミステリー』(小野克彦、山田浩之、紀伊國屋書店)

プラセボ、あるいはプラシーボ(偽薬)とは、実際には薬としての効き目はないものでも、薬として摂取することで、効能があるように感じられるものを言います。

本書は、フランス人医師が、偽薬に関する歴史を解き明かすもので原書1996年に発表され、邦訳は2005年に刊行されました。

本書の白眉となるのは、現代の医療における「偽薬」の問題。

《処方数の三五~四〇%を占めるこれらの偽物とも本物ともつかぬ医薬品は、科学者としての医師を窮地から救い、やぶ医者をまねるような行為うまく免れさせるとともに、治療手段が種切れにならぬようにさせてくれる。手ぶらでは帰りたくない患者はそれで満足し、自分たちの望みがかなえられた上に明らかに科学的な方法で治療をうけたので、たちまち治るにちがいないとの思いを次第に強くするのである。どうやら契約は守られ、商取引はうまくいったわけである。》(p.169)

この部分は、大いに検証される必要があると思います。


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