2012.07.05

▽派遣会社もツライよ――『仕事がない!』

増田明利『仕事がない!-求職中36人の叫び』(平凡社)

著者は、雇用問題を専門とするジャーナリスト。

これまでにも、『今日、ホームレスになった』シリーズや、『今日から日雇い労働者になった』、『今日、派遣をクビになった』などを発表している。

本書は、なんらかの理由で失業し、求職活動を続けるものの、いい仕事が見つけられない36人のルポである。

内容は、著者の前作や、マス・メディアなどで報じけられてきたものとさほどかわらないが、派遣会社に勤務していた男性の証言は興味深い。

《「わたしは〇五年の六月に転職して派遣業界に入ったわけですが、四半期ごとに売上が伸びていきました。会社としても積極的な営業展開をしたけど、それだけ需要があったということだと思う」》(p.86)

忙しさのピークは、2006年の下期から、2008年の初めの頃で、小売業や飲食業での人手不足感が強くなり、時給も短期間で上がっていったという。大手のコンビニが、「一日一時間でもOK」というチラシを入れることもあったという。

こうした好景気が暗転したのが2008年9月のリーマン・ショックで、派遣会社の顧客だった企業は離れていった。中には、派遣会社に給料を払わずに倒産した企業もあったという。

不況による就職難で、企業は派遣会社を介さなくても人を雇えるようになり、派遣会社の多くが契約を打ち切られ、倒産や廃業も続いている。

この証言者が勤めていた派遣会社も倒産したため、転職活動をしているが、派遣業界自体が不況におそわれている。また、元派遣会社勤務というキャリアでは、事業会社の人事部には採用されないという――。


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